注目映画紹介:「この愛のために撃て」 妻のため夫が誘拐犯に挑むノンストップサスペンス

「この愛のために撃て」の一場面(C)2010 LGM FILMS −AUMONT − TF1 FILMS PRODUCTION − K.R.PRODUCTIONS
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「この愛のために撃て」の一場面(C)2010 LGM FILMS −AUMONT − TF1 FILMS PRODUCTION − K.R.PRODUCTIONS

 アクション全開のフランス映画「この愛のために撃て」(フレッド・カヴァイエ監督)が公開中だ。凶悪事件に巻き込まれ、身重の妻を何者かに誘拐された一人の男が、事件のカギを握る凶悪犯とともに妻を取り戻すため、犯人に挑んでいくノンストップサスペンス。

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 とにかくスピード感がある。のんびりと見ていられるのは冒頭の数分だけ。その後はテンポを落とすことなく85分を見せ切る。元秘密工作員が拉致された娘の奪還に奮闘する08年の仏映画「96時間」を思い起こさせるが、両者の決定的な違いは、今作の主人公サミュエル(ジル・ルルーシュさん)が、看護師を目指して勉強中の“ただの中年男”に過ぎないという点。つまり犯罪にかけてはまったくの素人だ。そんな彼が、最愛の妻ナディア(エレナ・アナヤさん)を取り戻すために、愛という武器だけで無謀にも犯人たちに立ち向かっていくのだ。また、これが一種のバディ(コンビ)ムービーになっていることも面白さを加速させる。誘拐のきっかけを作った強盗犯サルテ(ロシュディ・ゼムさん)が、サミュエルに協力することになるのだが、この2人の関係があくまでもドライなのも心憎いところだ。

 カヴァイエ監督は、08年のデビュー作「すべて彼女のために」が仏で大ヒットし、今回が長編2作目。今作を、前作のラスト30分のリズムですべてが進行するよう心掛けたという。その通りの仕上がりになったことは、エンドロールが終わったあと「まだもう少し見ていたい」と思わせることで証明している。6日から有楽町スバル座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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