注目映画紹介:「未来を生きる君たちへ」 オスカー受賞 世界規模の問題を家族の物語に

「未来を生きる君たちへ」の一場面 (C)Zentropa Entertainments16
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「未来を生きる君たちへ」の一場面 (C)Zentropa Entertainments16

 「ある愛の風景」(04年)がハリウッドでリメークされて話題になり、今最も注目されているデンマークのスサンネ・ビア監督の最新作「未来を生きる君たちへ」が13日、公開される。今作は本年度アカデミー賞とゴールデングローブ賞の最優秀外国語映画賞をダブル受賞したほか、数々の賞に輝いている。 

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 エリアス(マークス・リーゴードさん)は学校でいじめに遭っている。父親のアントン(ミカエル・パーシュブラント)は、医師としてアフリカの難民キャンプで働いている。クリスチャン(ヴィリアム・ユンク・ニールセン)は母親をがんで亡くしたばかり。父親のクラウス(ウルリッヒ・トムセン)とともに祖母の家に移り住み、エリアスのいる学校に転校した。転校早々クリスチャンは、エリアスとともにいじめっ子にからまれ、怒ったクリスチャンはいじめっ子をナイフで脅し、エリアスを助けた。2人は秘密を共有し、心を通わせていく。ある日、エリアスたちが遊びに行った先で、ちょっとした事件が起き、クリスチャンはエリアスに復讐(ふくしゅう)を持ちかける……。

 01年の米同時多発テロ以来、多くなった復讐、報復といったテーマである。世界規模の問題を扱っていながら、家族の物語としての取っつきやすさがあるところがビア監督作の魅力。日常と非日常がなだらかにつながっていることを意識させられる。寂しさを抱えている2人の少年。少しずつ分かっていくそれぞれの家庭環境。少年の友情物語としても目頭が熱くなるものがあるが、少年たちだけでなく、親の葛藤も丁寧に描写していて重厚だ。原題は「復讐」とそのものズバリでなんだかホラー映画のタイトルみたいだが、丹念に描写された植物や虫や空を見ていると、邦題がなかなかいいことに気づいてくる。13日から「TOHOシネマズシャンテ」(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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