注目映画紹介:「ラビット・ホラー3D」 清水崇監督の臨場感あふれる3Dホラー

「ラビット・ホラー3D」の一場面 (C)「ラビット・ホラー」製作委員会2011
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「ラビット・ホラー3D」の一場面 (C)「ラビット・ホラー」製作委員会2011

 「戦慄迷宮3D」(09年)でアジア初の3D長編映画に挑んだ清水崇監督の3D映画第2弾「ラビット・ホラー3D」が公開中だ。10歳になる少年・大悟が、ある日、学校で飼っているうさぎを殺す。姉のキリコは口がきけず、大悟を止めようとしたが間に合わなかった。以来、大悟は学校に行かなくなり、夜になるたびにどこかに消えていく。キリコは必死に弟を守ろうとするが……というストーリー。

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 「戦慄迷宮3D」は、確かに野心的な作品であった。ただ、怖がらせることが趣旨でなかったために、「清水監督=ホラー映画」のイメージとのギャップに観客も戸惑ったのだろうか、興行的には成功しなかった。今作はどうかというと、前作同様、3Dで撮ることの意義をわきまえているというか、撮り慣れているというか、“アジアにおける3D映画の第一人者”との評判を覆さない仕上がりになっている。2作目ともなると余裕が生まれるのか、「戦慄迷宮3D」の場面を劇中に登場させる遊び心まで見せている。

 登場人物の肩越しの映像が多い。そこから撮ることで、観客にその場にいるような感覚、宣伝文句的にいうなら“臨場感”を与える。スクリーンからはみ出す部分の切り取り方にも配慮されており、観客の目線を大事にしていることが映像からくみ取れる。映画の中の世界に自分がのみ込まれていく感覚。その身代わりとなるのが、満島ひかりさん演じるキリコであり、澁谷武尊くん演じる大悟だ。「不思議の国のアリス」「人魚姫」といったおとぎの世界をモチーフに、背筋が凍る恐怖映画とはいかないが、お行儀のよいホラー、ちょっとダークなファンタジーといった仕上がり。撮影は「天使の涙」(95年)や「花様年華」(00年)などのウォン・カーウァイ監督の作品で知られるクリストファー・ドイルさん。彼の手による幻想的な映像も見どころの一つだ。香川照之さん、大森南朋さんらも出演している。シネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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