Kiroroのボーカルとして知られる玉城千春さんが、19日にシングル「神様」でソロデビューし、音楽活動を再開した。今や3児の母でもある玉城さん。休業中に再び芽ばえた歌への強い思いや、初のソロ作品のこと、また家庭と音楽の両立について話を聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)
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−−実は、Kiroroとして活動中、05年に結婚される以前からノドの調子を崩してしまっていたそうですね。
疲れとか精神的なものが原因だったと思うんですけど、それまで自己流で歌っていたので、何が正解か間違いなのかもわからないまま、歌っていくうちにちょっとずつズレていって、歌い方を忘れていったというか。そんな状態だったので、結婚して沖縄に帰る時点で「もう歌うことはないかもしれないな」って思ってました。でも、子供を産んで、その子供たちが一歩一歩成長していく姿を見たとき「なんだ、日々ちょっとずつでいいんだ、一つ一つでいいんだ」って。そうしたらいつかたどり着ける日が来る。ちょっとずつズレていったように、ちょっとずつ戻していけばいいんだって思ったんです。
−−それで、福岡にある「音楽塾ヴォイス」にボイストレーニングに通うようになったんですね。絢香さんを出したスクールとしても有名ですが。
絢香さんは、私が休んでる間にデビューをして、すごく表現力もあるし、彼女が楽しそうに歌ってる姿を見て、いいなあって。「私は楽しく歌えてなかったなあ、あんなふうに楽しく歌えたらいいな」って思ったんです。実際、学ぶことで、できなかったことが一つ一つできるようになっていくと、楽しくて。ほめられたり、逆に注意されたりするたびに、水を得た魚のようにピチピチしてました(笑い)。
−−徐々に自信がついて、ソロ活動への意欲もわいたと。
そうですね。マネジャーに頼んで、レコード会社の方にお願いしに行きました。「もう一回歌いたいんです。歌わせてください」って。そのときは、話をしてるうちにいろんな思いがあふれて、涙が出てきちゃって……。
−−そうだったんですね。では、そんな経緯もあっての待望のソロデビュー曲「神様」ですが、どんな思いを込めた楽曲なんですか。
“神様"は自分なんですよね。結局、全部自分で決めてるんです。いいときもつらいときも自分に問いかけて、未来を変えていけるんだって信じていれば夢はかなうだろうし、そう信じることが大切。そんなふうに自分も強くありたいし、みんなにも「大丈夫だよ」って伝えてあげたいなって。
−−また、サウンドはバンドスタイルによるアレンジで、ホーン(管楽器)も入っていたりと、Kiroroにはあまりなかったアプローチですよね。
新鮮ですね。歌の表現方法も、今までの私にはない強さがあって、パワフルだったりするんで、そういう魅力を味わってほしいです。
−−ちなみに、ご自宅での曲作りは、どんな時間帯に?
子供たちを学校に送り出してから、迎えるまでの時間ですね。その間は家事は一切しませんでした。だから、洗濯ものはたまるし、料理は簡単なものになっていくし(笑い)。でも、こうしていい作品ができたので、今ではみんな理解してくれてると思います。「やるからには精いっぱいやってこい」って主人も言ってくれるので。
−−“愛"ですねえ。さらにKiroroの相方・金城綾乃さんも、この「神様」を聴いて感想を寄せてくれたそうで。
「生命力にあふれている」って言ってくれました。「自分がプロモーターになってこの曲をプロモーションしたい」って(笑い)。
−−ハハハ(笑い)。そして11月23日には初のソロアルバム「Brand New Days」も発売されるということですが、小田和正さん、スキマスイッチ、Coccoさんなど、参加アーティストもそうそうたる顔ぶれですね。
どうせならKiroroでできないことをやろうということで、皆さんと一緒に新しいことに挑戦して、攻めまくりました。私からは生まれないであろうメロディーや歌詞、歌い方を学べた感じですね。
−−こうしてアーティスト活動を再スタートさせた今、家庭と音楽活動とのバランス感覚はどうなりましたか?
どっちに対してもシンデレラみたいな気持ち。魔法がかかってる感じです。東京にいる私も幸せで、沖縄にいても沖縄での幸せがあって、でもいつか、この魔法が解けてしまうんじゃないか、どこかに引き戻されてしまうのかなっていう。幸せなんだけど、それが消えてしまうのがコワイな、でもだからこそ大切にしなきゃって。どっちも無我夢中で頑張ってます!
<プロフィル>
1977年4月17日生まれ、沖縄県出身。98年、金城綾乃(キーボード)とのユニット・Kiroroのボーカルとして、「長い間」でデビュー。その後、「未来へ」「Best Friend」などをリリース。初めてハマッたポップカル チャーは「カラオケ」。「小学校1~3年生のころの記憶なんですけど、家に8トラックのカラオケがあって、家族みんなで集まって歌ってましたね。私がよく歌ってたのは、『待つわ』(あみん)とかテレサ・テンさんの曲。あと、小学校3年生のとき、歌手になる夢を一緒に追いかけてた友だちがいて、そのコといつもカラオケで歌ってました」
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