サッカー・ワールドカップ(W杯)の10年南アフリカ大会準々決勝「オランダ対ブラジル」戦でレッドカードを出すなど、おくすることなく試合を裁いた日本人主審・西村雄一さんに当時を振り返ってもらい、サッカーと審判について掘り下げるWOWOWのドキュメンタリー番組「ノンフィクションW 50,000vs1 ~サッカー国際審判員 魂のジャッジ」が13日に放送される。数万人が見守るスタジアムで世界戦をジャッジをする重圧の中で、精神面をコントロールするために、西村さんが取り組んでいることなどが明かされる。(毎日新聞デジタル)
ウナギノボリ
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多くのスポーツ競技がビデオなどの機械判定を導入する中、サッカーは試合の流れを重視するため、人の目などを頼りに審判を続けている。そのため“微妙な判定”も多く、過去、“疑惑”の判定には数々のドラマが生まれ、多くの選手やチームが涙をのんできた。一つ一つのジャッジが与える影響は大きく、サッカーの審判員は、常に大きなプレッシャーと向き合うことになる。番組は、スポーツジャーナリストの二宮清純さんも出演。W杯のVTRなどを交え、2人の対談形式で進行し、審判に焦点を当てる。
W杯南アフリカ大会で4試合を裁いた西村さんだが、同大会では、応援楽器「ブブゼラ」に戸惑ったようだ。その音に慣れるために大会期間中、審判の練習会場の音響機器から「ブブゼラ」の音をずっと流して練習していたという。「(練習すれば)慣れますね。必要な音だけが耳がつかむ、そんな感覚です」と語る。
西村さんは重要の試合でも、おくすることなく笛を吹いた。W杯南アフリカ大会準々決勝「オランダ対ブラジル」戦。荒れた試合中、ファウルを犯したブラジルの選手に迷いなくレッドカードを突きつけたシーンについて、「あの場面で、相手の行為をちゃんと見極めることができた」と振り返り、「そういう判断ができるように日々準備を重ねてきた」とトレーニングの成果であることをアピール。さらに、番組では、その場面の西村さんの心拍数や関連データを基に、科学的な面からも冷静だったことを証明する。
日々のメンタルトレーニングは、「試合の前であれば、日ごろお世話になっている方などを思い出して、いろんな方に支えてもらって、レフェリーが続けられるという、そういった幸せを再認識することが自分の中で落ち着きにつなげる。試合前に安定した心になるんです」と独自の方法を明かし、試合中であれば、何があっても想定の範囲内だと自分に言い聞かし、冷静になることを心がけているという。
審判の大変さについて、「試合をちゃんとコントロールして当たり前で、荒れたらへただといわれ、目立つとよくないですよね?」と二宮さんから振られた西村さんは、苦笑いで「黒衣の存在というのはおっしゃるとおりですね。選手がどうプレーに集中できるかという、その判定から早く切り替えられるかが、審判の能力に求められているような気がします」と語り、理想的なレフェリングについて「(試合の後)笛すら記憶に残ってない。記録見たらレフェリーはいたんだ」と、存在感が消えるほど試合をコントロールすることだと話していた。
また二宮さんから、これまで想定外だった印象的な試合を聞かれ、「ヨルダンで開催されたAFCの大会で、爆弾が投げ込まれたことがありまして……」と西村さんは危機的な状況を淡々と話し、スタジオを騒然とさせていた。放送はWOWOWプライムで13日午後10時から。(毎日新聞デジタル)
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