長くインパクトのあるタイトル「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は、原作の小説のタイトルそのままだ。「9.11」の米同時多発テロで父親を亡くした少年が、父親の残した鍵を頼りに鍵穴を探す旅路を、出会いと別れ、悲嘆に暮れる母子の姿とともに描き出す。「リトル・ダンサー」(00年)のスティーブン・ダルドリー監督の最新作。トム・ハンクスさん、サンドラ・ブロックさんらが出演している。
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オスカー少年(トーマス・ホーンさん)は11歳。「9.11」で父親トーマス(ハンクスさん)を亡くし、空っぽの棺を埋葬してから1年。父親が恋しくてたまらない。オスカーはこだわりが強く、外界との距離感を保つのが難しい。トーマスはそんな息子が困難に立ち向かえるようにと調査探検ゲームを考え出し、一緒の時間を過ごしてくれた。ある日、父親のクローゼットから1本の鍵を見つけたオスカー。鍵が入っていた封筒に書かれたブラックという文字を頼りに、母親(ブロックさん)には内緒で、謎の老人とともにニューヨーク中のブラック氏に会いに行くことにする。
少年の内面が実によく描かれている。鋭敏な感覚の持ち主オスカーが、外界と接するときはどんな感覚なのか、「あの日」のことをどういうふうに思い出しているのか。不安、後悔、自己嫌悪、うれしい、怖い、痛い……すべての感情が、スクリーンからあふれ出ている。亡くなった父親のメッセージにたどり着くことを信じているオスカー。彼の勇気と行動を支えているのは姿なき父親だが、夫を失って悲嘆に暮れてばかりいた母親もまた、オスカーを通して姿なき父親に支えられる。個性的な我が子をお持ちの方、大切な人を亡くしたことのあるすべての人に見てもらいたい映画だ。18日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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