「シリアスゲーム」の国際シンポジウム「魅せる! ゲームのチカラ。シリアスゲームがひらく、新しい未来」(福岡市と九州大大学院芸術工学研究院主催)が2日、福岡市中央区のアクロス福岡で開かれた。シンポジウムは、福岡市のシリアスゲーム事業の成果報告会という位置付けで09年度から3年間の期限で開かれており、会場では1年間の事業延長が発表された。
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シリアスゲームは、テレビゲームの制作ノウハウを生かし、医療や教育分野などで活用するゲームのことで、02年ごろに欧米で開発が始まった。オランダは国が主導してシリアスゲームの開発を推進しており、福岡市も産学官が連携してシリアスゲームの産業化への試みを進めている。また九州大は10年度からオランダの大学、企業、ヘルスケアセンターと協力して医療向けゲーム開発を進めるなど同国と深い関わりがある。
基調講演では、ゲーム応用コンサルティング「WLYW」の代表で、オランダのゲーム業界団体「ダッチゲームガーデン」会長のユルンファン・マルテリヒト・イデさんが、「ゲームデザインの未来」と題して講演した。イデさんは過去5年でシリアスゲームや、ゲーム的なノウハウを用いたサービスが急増したと紹介しながら「以前は映像がリアルになることで、仮想と現実の境界線があいまいになるという議論が盛んだったが、今やゲーム的な要素が現実社会に拡張しており、リアルバーチャリティー(社会のゲーム化)が進んでいる」と指摘した。
トークセッションでは、バンダイナムコゲームスでゲームのノウハウを社会に生かすコンサルティングチーム「スペシャルフラッグ」代表の一木裕佳さんらが登場した。一木さんは、ゲーム企業も社会的責任を果たすべきだと考え、教科書出版の「学校図書」に“授業外でも開きたくなる”教科書の共同制作を提案。さまざまな壁を乗り越え、小学校向け教科書28冊(国語12冊、算数11冊+別冊、理科4冊)を完成させたと語った。教科書は11年度から学校で利用されている。
会場では福岡市と九州大、地元ゲーム企業による業界団体「Game Factory’s Friendship(GFF)」が共同開発したリハビリゲーム「樹立の森 リハビリウム」や、スマートフォンで遊ぶ街歩き観光ゲーム「福ぶら」なども展示された。「福ぶら」はiPhone向けアプリとしてApp Storeで無償配信中。「リハビリウム」も医療・福祉向け専門出版社で、知育ゲームも手がける「メディカ出版」から12年秋以降、医療機関向けに発売される方針であることが明らかにされた。(小野憲史/毎日新聞デジタル)
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