「アバター」(09年)のサム・ワーシントンさん、「ヘルプ~心がつなぐストーリー」(11年)のジェシカ・チャステインさん、「ヒューゴの不思議な発明」(11年)のクロエ・グレース・モレッツさんら旬の俳優が顔をそろえた映画「キリング・フィールズ 失踪地帯」が公開中だ。メガホンをとったのは「インサイダー」(99年)や「パブリック・エネミーズ」(09年)などの監督として知られ、今作ではプロデューサーを務めたマイケル・マンさんの愛娘アミ・カナーン・マンさん。今作で、恵まれない家庭環境で育ち、心に傷を持つ少女を演じたモレッツさんに、電話で話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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何も知らずに読み始め、「この話が事実を基にしていると知って、驚くとともに特別な作品になりました」と脚本を手にしたときのことを振り返るモレッツさん。今作は、テキサス州テキサスシティーの一角にある犯罪多発地帯「キリング・フィールズ」とその周辺で起きた連続少女殺人事件を捜査する2人の刑事マイク(ワーシントンさん)とブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガンさん)の姿を追ったクライムサスペンスだ。モレッツさんが演じるのは、ブライアンを慕うリトル・アンという少女で、彼女もまた犯罪に巻き込まれてしまう……。
モレッツさんの言葉を借りるなら役柄のリトル・アンは「母親は娼婦(しょうふ)のうえ、自分の面倒をみてくれず、父親もいない、すごく恐ろしい環境で生きなければならない少女」だ。演じるにあたって、まずモレッツさんがしたことは「リトル・アンが普通の女の子なのか、それとも傷ついた少女なのかを見極めること」だった。そして、モレッツさんなりにとらえた人物像は「身近なところから喜びを見つけようとする女の子」であり、「やられっぱなしではなく、やり返す力もある強さ」を持ち、その一方で「メールを見て喜んだりもする、普通の女の子」というものだった。
そういった分析に加え、モレッツさんは薬物中毒者の保護施設を訪れ、元常習者と話をして薬物使用について学んでいった。それについて「彼女たち(元常習者)の子供のころの話がすごく勉強になった」といい、「今までで一番心を動かされる経験だった」と話した。
撮影現場では「脚本がとてもダークで、だからどんなささい細なことでもチャンスがあればみんな笑おうという雰囲気だった」という。声の低いモーガンさんは、米国生まれの人気アニメのキャラクター「ヨギ・ベア」に仕立て上げられ、豪州出身のワーシントンさんは、豪州なまりの英語で周囲に笑いを提供していたという。また、マン監督との仕事は「女性監督には母性のようなものがあり、優しい雰囲気を作品に与えてくれます。アミは深く掘り下げていくタイプの監督。彼女と仕事ができて本当によかった」と語った。
理想の女優にメリル・ストリープさんやナタリー・ポートマンさん、オードリー・ヘプバーンさん、グレース・ケリーさんを挙げる。彼女たちが「自分が何を求めているかを知っていて、それをどうやったら手に入れられるかを分かっている強い女性」と表現。女優を始めた当初は、「普通の人が趣味でサッカーをするような意識だった」そうだが、今は「情熱を持って演技に向き合い、いろんなキャラクターを演じることに喜びを感じている」と話す。そんなふうに確たる信念を持つ半面、「映画に対する観客の反応も知りたいし、前回来日したとき、原宿で買えなかったものがたくさんあったので、それを買いにまた日本に行きたい」と、15歳の女の子らしいコメントを寄せた。
「キック・アス」(10年)での口が悪く暴力的な女の子、「モールス」(10年)でのバンパイア、そして、「ヒューゴの不思議な発明」(11年)での本好きの少女と、その度に違う顔を見せてきたモレッツさんだが、観客はこの「キリング・フィールズ 失踪地帯」で、また別の彼女を目撃することになる。映画はヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開中。
<プロフィル>
1997年生まれ、米ジョージア州アトランタ出身。5歳のときにモデルとして芸能界でのキャリアをスタートさせ、05年、「Heart of THE Beholder」で長編映画デビュー。「悪魔の棲む家」(05年)、「アイズ」(08年)、「(500)日のサマー」(09年)などに出演するが、日本での人気を決定づけたのは、10年のニコラス・ケイジさんと父娘役を演じた「キック・アス」。その後「モールス」(10年)、「ヒューゴの不思議な発明」(11年)に出演。5月公開予定のティム・バートン監督、ジョニー・デップさん主演のダークファンタジー「ダーク・シャドウズ」にも出演している。
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