女優の蒼井優さんが、名作「東京物語」の舞台を現代に置き換えた映画「東京家族」(山田洋次監督)で、原節子さんが演じた主人公の次男の恋人・紀子を演じていることがわかった。30日、東京・成城の東宝スタジオで行われた製作報告会見に登場した蒼井さんは「紀子は日本映画にとっては重い役名。私には重すぎる」と漏らし「よく引き受けたねと言われます。でもそこを意識すると現場に来るのが嫌になるので私は新鮮な気持ちで“間宮紀子”を演じました。ご覧になる方は寛大な心で見てほしいと思います」と話し笑いを誘った。
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映画は東日本大震災の影響で製作が延期されていたが、12年3月にクランクインし、31日にクランクアップを迎える。山田監督は「3月11日の時点で映画製作の延期を決めました。その後もずっとうまくいくのか不安で、焦りや悩みを抱きながら今日に至りました。今になってその(延期の)判断は正しかったと思っている。東日本大震災は日本の歴史の中でも特筆すべき出来事。それを無視して作ってはいけないと思った」と思いを吐露した。
映画は山田さんの監督デビュー50周年を記念した作品として、小津安二郎監督の名作「東京物語」を12年5月の東京を舞台に置き換えたもので、瀬戸内海の小島から上京した平山周吉(橋爪功さん)ととみこ(吉行和子さん)夫婦と、東京で暮らす長男の幸一(西村雅彦さん)、長女の滋子(中嶋朋子さん)、次男・昌次(妻夫木聡さん)ら家族の絆を描く。13年1月公開予定。
「東京物語」で笠智衆さんが演じた主人公の周吉を演じる橋爪さんは「笠智衆さんのことを考えると撮影所に来るのが嫌になるので『東京物語』のことは排除しました」と話し「延期、台本を書き直してでも映画を撮った山田監督の情熱、体力に感心したのと同時に一緒に仕事をできたのがありがたい」と語った。
会見には吉行さん、西村さん、中嶋さん、妻夫木さん、夏川結衣さん、林家正蔵さんも出席した。(毎日新聞デジタル)
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