ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
俳優の妻夫木聡さん(31)が主演を務め、女優の武井咲さん(18)がスクリーンデビューした三池崇史監督(51)の最新映画「愛と誠」が公開されている。「十三人の刺客」「忍たま乱太郎」「一命」「逆転裁判」など幅広い作品を手がける三池監督は、「自分で思っていた以上に、自分自身楽しんじゃった」と笑顔を見せる。今回は、西城秀樹さんの「激しい恋」をはじめ、「あの素晴らしい愛をもう一度」「空に太陽があるかぎり」などの昭和の名曲をキャストたちが歌って踊るという、ミュージカル風の演出を採用。「こういう映画を作っていいっていう会社があるから、まだ捨てたもんじゃない。普通怒られますよ、大人なんだから」と笑う三池監督に同作について聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「愛と誠」は、73~76年に原作・梶原一騎さん、作画・ながやす巧さんでマンガ誌「週刊少年マガジン」で連載され、これまでに3度映画化され、ドラマ化もされている人気マンガが原作。映画は、額に一文字の傷を持つ超不良の男子高校生・太賀誠(妻夫木さん)は、誰も信じず、立ち向かう者は拳で倒してきた。一方、子供のころに雪山で誠に助けられ、財閥の一人娘で何不自由なく生きてきた究極のお嬢様の女子高生・早乙女愛(武井さん)は、11年後に新宿地下街で誠と運命の再会を果たし、常軌を逸した献身で誠に惜しみない愛をささげる……というストーリーだ。
不良たちとケンカをしながら「激しい恋」を突然歌い踊り出す妻夫木さんをはじめ、透き通った歌声で「あの素晴らしい愛をもう一度」を披露しながら軽やかなステップを踏む武井さんなど、観客が思わず突っ込んでしまいたくなるシーンの数々。披露される昭和の名曲は、「Mr.Children」などを手掛ける音楽プロデューサー・小林武史さんがアレンジし、パパイヤ鈴木さんが振り付けを担当した。「挑戦だったのでは?」と尋ねると、三池監督は「そこ(ミュージカル)が目的ではなくて、なぜか彼らは勝手に歌っちゃうんだよね。挑戦とかいう意味では他の作品と変わらない」という。
ヒロイン役の武井さんは撮影当時、現役の高校生。13日に行われたジャパンプレミアで「現場は楽しくて、楽しい!楽しい!で終わっていた」と話し、映画初出演とは思えないほど、見事なコメディエンヌぶりを発揮している。そんな武井さんを三池監督は「まあ、怪物ですよね」と表現し、「大人の気持ちが彼女なりに見えていて、何を求められているのかというのを敏感に感じとる力が強い」と評価する。
一方で、誠役には30歳を超えている妻夫木さんを抜てき。さらに、「君のためなら死ねる!」とエネルギッシュに叫ぶ強烈なキャラクター・岩清水を演じる斎藤工さん(30)や、番長役を演じる伊原剛志さん(48)らも高校生役だ。その理由について「今の17、18歳くらいの男の子では、ただのオママゴトの恋愛映画になる気がした」といい、「実生活でいろんな思いをしてきた男、むしろおじさんが真剣に向き合うほうがリアリティー」と力を込める。
撮影現場では、スタッフやキャストができるだけストレスなく感じたことを表現できる場を作っていくことを心がけているという三池監督。その理由について、「エンターテインメントを作るのに、しかめっ面しててもしょうがない」と話し、「作品は副産物で、現場をどう作っていくか、生まれてきた現場の空気そのものが作品だと思う」と持論を展開。インタビュー終了直後に行った写真撮影時には、三池監督自らテーブルを移動してセッティングを手伝ってくれる場面もあった。その気配りが現場の空気を作っているのだろう。最後に、「これから映画監督として、やっと個性というのが自然に出てくるんじゃないかと思っている」と力強く語った。
<プロフィル>
みいけ・たかし。60年生まれ、大阪府出身。横浜放送映画専門学院を卒業後、今村昌平監督や恩地日出夫監督に師事。91年にVシネマで監督デビュー。以来、極道モノからアクション、ホラー、ファミリー向け、青春モノなどジャンルを問わず作り続け、多作で知られる。海外での評価も高い。他の主な作品に「殺し屋1」(01年)、「妖怪大戦争」(05年)、「クローズZERO1、2」(07年、09年)、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(07年)、「ヤッターマン」(09年)など多数。11月には貴志祐介さんの小説を映画化した「悪の教典」が公開予定。
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