マンガ誌「週刊少年マガジン」(講談社)で73~76年に連載された、梶原一騎さん、ながやす巧さんによる青春・純愛マンガの金字塔を、「クローズZERO」などで知られる三池崇史監督が映画化し、16日に封切られる。早乙女財閥の一人娘・愛は、幼少期に雪山で見知らぬ少年に助けられ、以来その少年、太賀誠が忘れられない人となった。そして11年後、愛は誠と運命の再会を果たす。超ワルになっていた誠を更生させようと献身的に尽くす愛。やがて、誠と不良学生の間で抗争が発生。そこに、愛のことを愛する優等生の岩清水弘やスケバンのガムコらがからみ、怒涛(どとう)のドラマが展開していく……。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
「昭和を知る世代だけでなく、いまを生きる若者にもこの映画を見てほしい」との製作側の思いから、導入部はなんとアニメーション。その後も、誠役の妻夫木聡さんが西城秀樹さんの「激しい恋」を歌い、岩清水役の斎藤工さんが錦野旦(にしきのあきら)さんの「空に太陽があるかぎり」を熱唱し、愛役の武井咲さんがザ・フォーク・クルセイダーズの「あの素晴らしい愛をもう一度」を軽やかに歌うなど、意表を突かれっぱなし。しかもみなさん、歌いながら踏むステップが、ダンスというよりお遊戯(失礼!)と表現したほうが適切なゆるーい踊り。もともとは「昭和の歌を生かしたミュージカルをやってみたい」という、脚本を担当した演出家で俳優の宅間孝行さんのアイデアだそうだが、そこに、音楽プロデューサーの小林武史さんがアレンジした数々の名曲がかぶさり、それに合わせたパパイヤ鈴木さん考案の踊りが、えもいわれぬ脱力感と笑いを提供する。
そんな昭和生まれのおじさまたちの思惑に乗って、かれんに歌い、踊り、演技する、平成生まれの武井さんのひたむきさには頭が下がる。一方の妻夫木さんは30歳を過ぎているのに高校生役。しかも髪形には違和感があり、額の傷もうそっぽいが、この作品自体がけれんみたっぷりだから、それもまたよしと納得してしまう。ほかに、ガムコ役で安藤サクラさんが、愛の両親役で市村正親さんと一青窈さんらが出演。彼らそれぞれの渾身(こんしん)の演技が、今作を一級のエンターテインメント作に仕立てている。16日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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