ゲーム制作に込めた開発者の思いを聞く「ゲーム質問状」。今回は、タッチペンで実際にマップを描きながら、3Dダンジョンを踏破していく人気RPGの最新作「世界樹の迷宮4」(3DS)です。インデックスの金田大輔ディレクターに作品の魅力を聞きました。
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−−ゲームの特徴と、セールスポイントは?
世界樹の迷宮シリーズとは、ズバリ、地図を手で描くRPGです。その本質は、「4」においても変わりません。プレーヤーは名もなき冒険者となり、前人未到の迷宮へと挑みます。迷宮の中は美しくも厳しい深緑の世界。一歩足を踏み入れれば、そこに住む魔物たちが、容赦なくプレーヤーに襲いかかります。そんな危険な旅路において、唯一の道しるべとなるのは、あなた自身が描き出した地図にほかなりません。
上画面には、謎に満ちた迷宮の様子が映し出され、より美しくなったグラフィックと、3DSならではの立体視が、あなたを冒険の世界へと誘います。
そして下画面は、地図を描くためのツールです。迷宮を探索しつつ、その痕跡を地図に描き記していきましょう。地図に決まった描き方などありません。あなたなりの地図で大丈夫。その地図によって、未踏の迷宮はその全貌(ぜんぼう)を現し、同時に、謎に満ちていた迷宮が、あなたの庭へと変わっていきます。それこそが冒険の醍醐味(だいごみ)。
世界樹の迷宮4は、ユーザーの皆さんに、そんな「冒険」を提供するゲームです。
−−最新作「4」の開発のコンセプトは?
「地図を手で描く」と聞くと、面倒に感じる方もいるかもしれません。実は私も、最初はそんな印象を抱いた覚えがあります。しかし実際にプレーしてみると、地図を少しずつ描きながら迷宮を攻略していく、そのコツコツと積み重ねていく感じが、どうにもたまらず面白いのです。地図が完成に近付くにつれ、迷宮自体もサクサクと進めるようになっていく、その二つの充実感が同時に大きくなり、クリア後の達成感を強くしてくれます。「世界樹の迷宮4」は、これまでのシリーズが培ってきたこの魅力を最大限に発揮するため、攻略そのものを楽しんでもらえるゲームを目指し、「探して、見つけて、広がる世界」をコンセプトとして掲げました。
皆さんが地図を描くことで解き明かされる謎、そしてその先に広がる次の展開。常に、新鮮な驚きを感じてもらえるだけの変化を、迷宮にもキャラにも、そしてシステムにも持たせ、かめばかむほど味が出てくる、そんなゲームを目指しました。
−−今だから笑って明かせるけれど、開発当時は大変だったエピソードをお願いします。
開発中は、「クリア想定時間」というものを決めます。これは、「このゲームをクリアするのにかかるであろう、大体の時間の目安」です。ちなみに、当初の「世界樹4」のクリア想定時間は、40時間程度でした。開発も進み、いよいよ全ての仕様が実装された段階で、テストプレーが各所で行われるようになったのですが、その中で、無視できないデータが現れました。
1章クリアに要する平均時間が16時間程度になっているというのです。詳しくは書けませんが、残りのボリュームから逆算すると、クリア想定がとんでもない時間になる値です。
「そんなバカなっ!!」「どこでそうなっているっ?」「戦闘が長すぎるのか?」「迷宮が広すぎるのか?」「成長が遅いのか?」
チーム内でさまざまな憶測が飛び交う中、事実を検証すべく、ゲーム中のどこで、どれぐらい過ごしていたのか、その時間がログとして記録されるプログラムが用意されました。これでテストプレーをしてもらえば、ゲーム中のドコで時間がかかっているのかが一目瞭然です。
そうして、判明した結果……。
「街」にいる時間が想定よりはるかに長いことが判明しました……。「街?」「なんで街?」開発はちょっとしたパニック状態。
……しかしよくよく考えてみると、世界樹の迷宮4は、わりと街が忙しいゲームであることが思い出されました。ひとたび迷宮から帰ってくれば、空で集めた食材を売ってお金が入ります。さらに戦いで得た素材を売ることによって、施設の販売物が増え、同時にお金も手に入ります。さらにクエストの達成報告を行えば、報酬として経験値が手に入り、キャラがレベルアップします。
……かくして、装備品を買い、鍛冶を行い、スキルポイントを割り振り、新たなクエストを引き受け、最後に一晩泊まって、セーブを施し、次の旅に至る。この工程が意外と時間がかかるのです。……とはいえ、こればかりは、プレーヤーがあれこれと思考を巡らせ楽しんでいる時間ですから、削減のしようもありません。
結局、一部のエンカウント率などの調整はしたものの、クリア時間に関する抜本的な解決はできませんでした。世界樹の迷宮4のクリア想定時間は、一応の基準として目安(約55時間)を提示させていただいていますが、実際にどうなるかは、皆さんの冒険の仕方次第です。ぜひ、皆さんのペースで、自由に冒険を楽しんでいただきたいと思います。その結果、雑誌などに掲載しているクリア想定時間より速かったり遅かったりしても、どうか許してください。
−−ファンへ一言お願いします。
RPGとして大切な「冒険感」が感じられるタイトルであること。それが世界樹4に込めた重大要素であり、「探して、見つけて、広がる世界」というコンセプトの元でもありました。
ですがもう一つ、異なるベクトルのコンセプトも、このタイトルには込めています。それは、「誰もがクリアまで楽しめるゲームにする」ということです。
ゲームによっては、「買いはしたが、途中でやめてしまった」という話を聞くことがあります。それはお客様が、せっかく購入した物の全てを楽しめずに終わってしまったということであり、作り手にとっても、作り上げた全てを楽しんでいただけなかったということ。誰にとっても不幸な結果です。
ですから世界樹の迷宮4は、誰もがクリアまで楽しめるゲームを目指しました。タッチペンを使い、あなただけの地図を描いてください。その地図が、あなたを別の世界へと導きます。新しい大地と、それを彩るBGM、新たな仲間、新たな敵、そしてストーリー。ガラリガラリと新しい展開と新鮮な驚きが、あなたの冒険の先に待ち構えています。そしてその果て、悠遠の世界樹には、大きな真実が待ち受けています。
それらによって、次の展開への期待感、冒険のワクワク感を絶やすことなく、遊び続けていただける内容を目指しました。それがコンセプトだからというわけではありませんが、ぜひエンディングまで、楽しんでいただければと思います。
そして、「今までのシリーズをプレーしたことがないから……」「難しいと聞いているから」と、まだ世界樹の迷宮4をプレーしたことのない方。ぜひ、体験版をプレーしてみてください。「ニンテンドーeショップ」から無料でダウンロードできます。世界樹の迷宮4は、これまでのシリーズ未経験の方でも、問題なく楽しむことができます。新たに難易度セレクトも実装しましたので、初心者の方でも安心して楽しんでいただくことが可能です。それを、この体験版で確かめてください。
もうすぐ夏休み。そんな時だからこそ、じっくりと楽しめる、本格RPGはいかがでしょう。世界樹の迷宮4は、あなたにひと夏の冒険を提供する一本です。
インデックス コンシューマソフトウェア局 クリエイティブ部第一プロダクション ディレクター 金田大輔
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