辻井伸行:被災地の中学合唱団と共演「素晴らしい経験できた」

1 / 30

 09年に日本人で初めてバン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した盲目のピアニスト・辻井伸行さんが、9月5日放送のNHKの震災復興支援ソング特集番組「花は咲くスペシャル」(総合テレビ)に出演することになり、15日、同局で行われた収録に参加した。今回が初となる合唱団との演奏共演を、被災地・福島県郡山市立安積(あさか)中学校合唱団のメンバーと行った辻井さんは、「震災で大変な思いをしていて、一緒にやるにもどんな感じなのかなと思っていましたが、みんながあきらめないで頑張っている姿に感動したし、刺激をもらいました」とにっこり。「共演できて楽しかったし、すばらしい経験ができた。みんなで一つの音楽を作れて感動的だった」と感無量の様子だった。

あなたにオススメ

 「花は咲くスペシャル」は、被災地出身の著名人らが歌う同局の復興支援ソング「花は咲く」をめぐるそれぞれの思いをつづる特集番組。花にまつわる被災地の物語や、歌い手たちの曲に込めた思いを紹介するほか、辻井さんの演奏で西田敏行さんら番組出演者と同合唱団のメンバーが一夜限りの「花は咲くスペシャル」を合唱するというもの。

 番組には、辻井さんのほか、宮城県気仙沼市在住のシンガー・ソングライター・熊谷育美さん、お笑いコンビ「サンドウィッチマン」、千昌夫さん、中村雅俊さん、華道家の前野博紀さん、森公美子さん、司会に西田さん、プロフィギュアスケーターでトリノ五輪金メダリストの荒川静香さんが出演する。ナレーションを鈴木京香さんが担当する。

 同プロジェクトに共鳴し、ソロでの演奏をはじめ、同合唱団とともにレコーディングを行った辻井さんは、「震災直後、音楽家として何ができるかすごく考えさせられた。音楽を通してあきらめないでいただきたいなという思いがすごくあったので、少しでも多くの方に伝えていきたいと思った」とコメント。同曲について、「あきらめないで、きれいな花を咲かせていこうという思いが伝わる曲。この曲を少しでも多くの方に歌っていただきたいし、何十年後、何百年後と歌い継がれることを願っています」と力を込めた。

 音楽の教員をしていた友人を津波で亡くしたという森さんは、「代用教員として(被災地の)学校で教えさせてもらったときに、子供たちからのプレゼントで、合唱を私に歌ってくれたんです」と涙ながらに告白。「私がきっかけで元気になってくれればいいなと思っていたのは大間違いで、震災にあった中学生の皆さんから宝物をいただきました。歌の持つ力というのは大きいものだと思う」と語った。

 「花は咲くスペシャル」は9月5日午後8時から放送。なお、辻井さんのピアノソロなどを収録したCD「花は咲く 辻井伸行バージョン」は10月17日発売で、売り上げの一部は義援金として被災地に送られる。(毎日新聞デジタル)

写真を見る全 30 枚

テレビ 最新記事