朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第87回 グリム童話「ブレーメンの音楽隊」

グリム童話「ブレーメンの音楽隊」(福音館書店)の表紙と乙葉しおりさん
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グリム童話「ブレーメンの音楽隊」(福音館書店)の表紙と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第87回はグリム童話の「ブレーメンの音楽隊」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 季節の変わり目で天気の崩れやすい日が続いていますが、こういう時期は気候の急激な変化に体温調整が対応しきれなくなって、体調を崩しやすくなります。

 私も気をつけるようにしているんですけど、実は今ちょっと風邪気味になっていたりして……(>_<)

 皆さんもこれからの「秋の夜長」を寝て過ごすことにならないよう、どうかご自愛くださいね。

 さて、今回はこの時期お誕生日を迎えられた方の中から5人をご紹介したいと思います。

 まず9月24日は、フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドさん(1896年生まれ・米国)。代表作「グレート・ギャツビー」はアメリカ文学を代表する作品であり、同世代のヘミングウェーさんと並び称される作家さんです。

 翌25日はお二人、まず1人目は魯迅(ろじん)さん(1881年生まれ・中国)。「阿Q正伝」「狂人日記」などで知られ、日本での留学生活の様子は後に太宰治さんの作品「惜別」として発表されました。

 2人目は、推理作家の高木彬光(あきみつ)さん(1920年生まれ)。数々の作品で主人公を務める探偵・神津恭介さんは、日本三大名探偵の一人といわれています。

 28日は、儒教を体系化した孔子(こうし)さん(紀元前551年生まれ・中国)。お弟子さんたちがまとめた彼の言葉の記録「論語」は儒教の四書(ししょ)の一つとなっています。日本ではこれを抜粋して物語形式にした下村湖人さんの「論語物語」も有名ですね。

 最後に29日は、日本児童文学の父・鈴木三重吉さん(1882年生まれ)。夏目漱石さんの門下生から出発して「古事記物語」などの作品を発表、アンデルセン童話の翻訳のほか、児童文芸誌「赤い鳥」を創刊して多くの作家さんを見いだすなど編集者としても活躍されました。

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、甲原みかえさんのお話・その3です。

 英語ができるのに苦手だと言うみかえさん、聞くのも書くのも完璧な彼女の苦手は「しゃべる」ことでした。

 といっても、発音がジャパニーズ・イングリッシュで棒読みという点を除けば、詰まることなくすらすらとしゃべることができるんです。でも……このお話には、まだ続きがあったのです。

 あれは、みかえさんの家の最寄り駅で待ち合わせをしたときのこと。部長さんと私が駅前に着いたとき、彼女は誰かに道を聞かれている様子でした。その場に近づいてみると、道を聞いているのは海外の方のようで英語(かどうかは実はこの時点では分かりませんでしたが、日本語でないということだけは分かりました……)で話していたんです。

 部長さんと私は2人の邪魔にならないよう、声をかけずにそばで待つことにしたのですが……この時、みかえさんは私たちが来たことに気づいていませんでした。

 そして……道案内を始めたみかえさんの英語は、いつもの発音とは全く異なるものでした。

 それは流暢(りゅうちょう)な英語で、ネーティブの人が話しているとしか思えないほどです。

 これが本来のみかえさんの英会話なんだと理解した半面、なぜ普段はしゃべり方を変えているのか、私は疑問を抱かずにはいられませんでした……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

 ◇しおりの本の小道 グリム童話「ブレーメンの音楽隊」

 こんにちは、今回は「芸術の秋」にちなんで「音楽」のお話を。

 ドイツのグリム兄弟によって編さんされた「グリム童話」の一つ、作品番号KHM 27「ブレーメンの音楽隊」をご紹介します。

 もし、「動物を主人公にしたお話を知っているだけ挙げてみましょう」と言われたら、多くの人がこの作品をリストの一つに加えるのではないでしょうか?

 あるところに、働き者のロバがいました。

 彼は長年主人のために働き続けましたが、寄る年波には勝てません。すると主人は「働かざるもの食うべからず」とばかりに、ごはんを出さなくなったのです。

 このままでは飢え死にするだけと考えたロバは主人の家を逃げ出し、ブレーメンの町へ向かうことにしました。町の音楽隊に入れてもらえば、生活していけるだろうと考えたのです。

 ロバは旅の道中、自分と境遇の似た、老いた動物たちと次々に出会いました。

 獲物を追えなくなり、処分されそうになったところを逃げてきた猟犬。ネズミ捕りができなくなり、おかみさんに川へ投げ込まれそうになった猫。今夜首を切られ、明日にはお客さま用のスープになって食べられてしまう運命だという雄鶏。

 彼らは「ブレーメンで音楽隊をやろう」というロバの呼びかけに賛同し、旅の仲間に加わりました。

 しかしブレーメンへの道のりは遠く、一日でたどり着けるものではありません。やがて日が暮れ、彼らは夜を明かそうと森の中に入ったのですが……。

 このお話のタイトルになっている「ブレーメン」はドイツの北西部に実在する都市です。

 市庁舎前には、このお話にちなんだ動物たちのブロンズ像が建てられていて、観光名所の一つになっているんですよ。なんでも「ロバの足を触りながら願い事を言うとそれがかなう」といわれているそうで、銅像の足だけがピカピカに光っているとか。

 実はちょっとだけネタばれしてしまうと、お話の最後で動物たちはブレーメンに行くことをやめてしまっているんですけど、その後の彼らが、ブレーメンに遊びに来たことがあったのかもしれませんね(^−^)

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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