WBC世界スーパーバンタム級名誉王者の西岡利晃選手（帝拳）とWBO・IBF世界同級王者のノニト・ドネア選手（フィリピン）が対戦する「世界スーパーバンタム級王座統一戦」が13日（現地時間）、米カリフォルニア州カーソンの「ホーム・デポ・センター」で開かれ、この模様は14日にWOWOWで生中継される。同試合を「注目カード」と語るロンドン五輪金メダリストの村田諒太選手に、試合の見どころや自身のボクシングに対する考えなどを聞いた。（毎日新聞デジタル）

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　日本のアマチュアボクサーとして、東京五輪の桜井孝雄さん以来、48年ぶりに五輪で金メダルを獲得した村田選手は、アマ、プロの壁を越えたボクシングマニアとしての一面も持っている。茶髪を注意された中学時代の先生から「何かやりたいことはないのか」と聞かれ、「ボクシング」と答えてから13年。奈良の不良少年は競技者として、そしてマニアとしていちずにボクシングと向かい合ってきた。世界のトップボクサーたちの試合を放送するWOWOWの「エキサイトマッチ」は、14歳のときから欠かさず見ているほどで、寮生活だった時期には、録画したものを親から送ってもらって見たというから筋金入りだ。

　村田選手は「一番好きなボクサーはフェリックス・トリニダード選手（プエルトリコ＝元世界3階級制覇王者）。モーリス・ブロッカー選手からタイトルを取った試合も見ましたよ。レイ・ロバト戦やフェルナンド・バルガス戦なんかもすごかったじゃないですか。最近ではミゲール・コット選手（プエルトリコ＝元世界3階級制覇王者）も好きです。左ジャブを軸にして崩していくところなど参考になりますね」と選手の構えをジェスチャー入りで説明し、マニアならではの知識を披露。「僕はマニアですからね。自信ありますよ」と白い歯を見せて笑う。

　9月には、アマとプロの違いはあるものの同じミドル級のフリオ・セサール・チャベス・ジュニア選手（メキシコ）対セルヒオ・マルチネス選手（アルゼンチン）の試合のゲスト解説を務めた。「中学のときから見ている番組ですからね。その番組に自分が出ているというシチュエーションを考えたら少し緊張しました」と振り返り、マルチネス選手について「自分が戦うとしたらどうするかと考えて見るんですが、勝てるイメージがわかないんですよ（笑い）。アマの3ラウンドならイメージがわくけれど。相打ち覚悟で行くしかないでしょうね」と語った。

　ロンドン五輪後の9月下旬には国体の近畿ブロック予選に出場したが、それを最後に「しばらくは休みたい」と休養宣言した村田選手。メディアへの露出は多いが、アマチュアボクシングの振興と普及のためには自分が広告塔になることも辞さない構えだ。「僕を知ってもらうことで少しでもアマチュアボクシングに関心を抱いていただければうれしいですね」と自らの役割を口にする。自分が携わる競技を究めるため、スポーツ科学やスポーツ心理学にも強い興味を抱いている。米国か英国への留学も視野にあるという。

　そんな村田選手に、今後の注目カードを聞くと、西岡選手とドネア選手の一戦と返答した。「西岡さんは36歳にして成長しているんだからすごいですよ。しかも強い相手を選んで戦っている。僕の考えや思いと一致するところが多いんですよ。だから皆が応援するんじゃないですかね。でも、ドネアも大好きなんですよ。コアトレーニングの映像を見て参考にしたこともあるし。あの身体能力はすごいですよ」と両選手を評する。

　「西岡さんの左もすごいけれど、ドネアの左もすごい。勝負は4ラウンド以降、中盤かな。ドネアが倒れるところも見たくないし、でも西岡さんに勝ってほしいし。まいったな、2人とも軽量級とは思えないスピードと迫力を持っているので、スリリングな試合になるでしょうね」と見どころを説明し、「どちらかに決めろといわれるなら、西岡さんの6ラウンドか7ラウンドのTKO勝ちを推します」と予想した。

　WOWOWでは、西岡選手とドネア選手の一戦を「生中継！　エキサイトマッチスペシャル 頂上決戦！　西岡利晃vsノニト・ドネア」として、14日午前11時から「WOWOWプライム」で生中継する。また、試合前の12日には西岡選手の名勝負4試合を一挙放送する「頂上決戦への軌跡」などの関連番組も放送する。