ベン・アフレックさんが監督、主演、製作を務めた「アルゴ」が26日、公開された。題材は、79年にイランで起きた米国大使館人質事件。52人の大使館員が人質にとられたことはよく知られているが、その背後に、もう一つの人質救出作戦があったことはあまり知られていない。事件発生から18年間、米国政府が隠し続けた驚くべき作戦の全容を描いたのが今作だ。監督、脚本、主演を兼務した前作「ザ・タウン」(10年)が高く評価されたアフレックさんは、今作も期待を裏切らない、いや、それ以上の作品に仕上げている。
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79年11月4日、イラン革命が激しさを増す中、過激派が在テヘラン米大使館を襲撃、大使館員を人質に取った。騒乱のさなか、6人の大使館員が逃げ出すことに成功、カナダ大使の自宅に身を隠す。もし見つかれば、彼らの命はもちろん、大使館の人質52人の命も危ない。CIAの救出作戦のエキスパート、トニー・メンデス(アフレックさん)は、6人を国外脱出させるための、ある作戦を思いつく。それは、彼らをカナダの映画クルーに仕立て上げ出国させるというものだった。
イランの当時の情勢をアメリカンコミック風に紹介する冒頭から、メンデスが、前代未聞の人質救出作戦を思いつくまでを一気に見せる。その後、作戦の準備段階に突入し、ハリウッドの大物プロデューサーやマスコミを巻き込んでの大芝居が打たれる。その手の込みように、ただただ驚嘆する。そして、ラストの30分は文字通り、手に汗握る興奮の展開で、最高にスリリングだ。さらに、テロップで流れる後日談のしゃれた演出に至るまで、エンターテインメントとして非の打ちどころがない。アフレックさんのクリエーターとしての才能を改めて実感した。なお、ジョージ・クルーニーさんが製作に名を連ねている。26日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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