「LOST」「FRINGE／フリンジ」など数々の大ヒットテレビシリーズを手掛け、また、映画「ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル」「SUPER8／スーパーエイト」の監督として知られるJ．J．エイブラムスさんが制作総指揮を務めた米テレビドラマ「アルカトラズ」のブルーレイディスク（BD）とDVDが7日に発売された。プロモーションのために、主演の1人であるホルヘ・ガルシアさんが来日。インタビューに応じた。（りんたいこ／毎日新聞デジタル）

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　「ALCATRAZ／アルカトラズ」は、米サンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島にある刑務所を主な舞台に展開するアクションミステリーだ。凶悪犯ばかりを収容し、脱獄不可能といわれたその刑務所から、50年前、囚人と看守302人が突然、姿を消した。現代に現れた囚人が再び犯罪を繰り返す中、サンフランシスコ市警の女性刑事レベッカ・マドセンと、アルカトラズ研究の第一人者ディエゴ・ソト博士、さらに政府の秘密エージェント、エマーソン・ハウザーらが、彼らの犯行を阻止しながら、アルカトラズに隠された謎を解明していくというストーリーだ。

　今作でソト博士を演じているのがガルシアさんだ。ソト博士は刑事司法の博士号を持つアルカトラズ研究の第一人者。その一方で、コミック店を経営するという“オタク”の一面も持つ。「そういう矛盾した面があるからこそ、人間的なんだと思う」と、ガルシアさんは考えている。

　演じるに当たっては、長く務めた「LOST」でのハーリー役が、少なからず影響を与えたという。「ハーリーは、誰からも愛され、その愛を返すタイプの人間だったけど、ソト博士は、好き嫌いの激しい、気に食わない相手には、その感情を露骨に表すような人間なんだ。ハーリーとは差別化したいと思ったから、ハーリーがするであろう反応とは、あえて真逆の態度を取ったりした」という。

　とはいえ、「ソト博士はファイターではなく平和的な人」。高校時代はレスリング部に所属していたガルシアさんだが、「レスリングの経験は役に立っていない」と話す。ただ、当時のあだ名が「ベビーフェース・キラー」だったことを明かし、「ベビーフェースのところは今も変わっていないから、その点では（レスリングが）役立っているといえるかな」とちゃめっ気あるコメントをした。

　今作のマドセン役が初の大役となった共演者のサラ・ジョーンズさんとは、会ってすぐに意気投合したという。というのも、サム・ニールさん演じるハウザーは、一連の出来事について何らかの事情を知りながら、それをソト博士にもマドセンにも明かそうとしない。「彼（ハウザー）が僕らに隠しごとをし、うそをつくなら、こっちもうそをついてやるみたいな、パートナー同士の結束力が、実際の僕らの関係にも反映されたのではないか」と分析する。

　一方、ハウザー役のニールさんについて。ニールさんといえば映画「ジュラシック・パーク」（93年）や「ピアノ・レッスン」（93年）といった作品に出演し、その風ぼうから「硬派」「紳士的」のイメージがあるが、「とてもスマートで、洗練されていて、ワインについても詳しくて……」と、そのイメージを肯定しながら、「かと思うと、ここではいえないような不適切な発言をしたり（笑い）。みんながイメージしているよりはるかにユーモアがあって、めちゃくちゃ楽しい人だよ」と知られざるニール像を暴露していた。

　突然姿を消した302人の囚人と看守が現代に現れたワケは？　アルカトラズで当時、行われていた“輸血”の目的は？　数々の謎がちりばめられている今作。改めてその見どころを聞くと、ガルシアさんは「作品中にはJ.J.（エイブラムスさん）の他の作品に登場したものが出てきたり、『LOST』ファンなら『おおっ！』と思うような“ボーナス”があったりするので、それをぜひ見つけてほしい」と語り、また第3話について「ソト博士の過去にわずかながらも触れている。過去のある事件によって、彼がどんなふうに変わり、どういう行動をとるようになったのか、その大きなパズルのピースが見られるので注目してほしい」とメッセージを送った。

　1月に全米で放送がスタートした「ALCATRAZ／アルカトラズ」は、ドラマファンの間では高い支持を得たものの“通向け”の質の高さが災いし、視聴率に伸び悩み、全13話で終了となった。しかし、海外ドラマファン、とりわけJ.J.エイブラムスさんのファンには見逃すのは惜しいドラマのため、この機会にDVDでチェックしてほしい。

　＊……「ALCATRAZ／アルカトラズ」BDコンプリートボックス（2枚組み）5980円、DVDコンプリートボックス（6枚組み）4980円、11月7日発売、発売・販売元：ワーナー・ホーム・ビデオ

　＜プロフィル＞

　1973年、米ネブラスカ州生まれ。学校演劇のミュージカルで悪役を演じ、演技に開眼。大学卒業後はおもに舞台で活躍。「LOST」（04～10年）のハーリー役でブレークした。テレビシリーズ「ラリーのミッドライフ★クライシス　シーズン4」（04年）や「FRINGE／フリンジ　サードシーズン」（10年）などにも出演している。