注目映画紹介:「人生の特等席」 イーストウッドの4年ぶり銀幕復帰作 たたずまいにほれぼれ

「人生の特等席」の一場面 (C)2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
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「人生の特等席」の一場面 (C)2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

 役者の顔ぶれだけで満足してしまう作品がある。今作はまさにその類の作品だ。「グラン・トリノ」(08年)で俳優引退宣言をしたクリント・イーストウッドさんの4年ぶりの主演作「人生の特等席」が23日に公開された。共演はエイミー・アダムスさん、ジャスティン・ティンバーレイクさん、ジョン・グッドマンさんら。メガホンをとったのは、イーストウッドさんの作品で長らくプロデューサーとして仕事をしてきたロバート・ロレンツさんで、これが監督デビュー作となる。

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 イーストウッドさんが演じるガス・ロベルは、かつては大リーグ最高のスカウトマンといわれていたが、最近は年のせいで視力が衰え、物にぶつかることもしばしば。次のドラフトで結果を出せなければ、おそらく彼のスカウトマンとしてのキャリアは断たれてしまう。そんな父の異変に気づいた、弁護士をしている一人娘のミッキー(アダムスさん)は、昇進が懸かった大事な裁判を目前に控えながら、父のスカウトマン人生の最後の旅に同行することにする。それは、わだかまりを抱えた父と娘の関係修復の旅でもあった……というストーリー。

 野球のドラフトにおける選手獲得を描いているが、以前公開された「マネーボール」ほど野球や野球を巡るビジネスに入り込んではいない。むしろ、人生の岐路にさしかかった人間の決断の物語であり、父と娘の物語であり、さらに、老いやキャリア、ロマンスも盛り込んだ、幅広い層に受け入れられる内容に仕上がっている。もちろん、イーストウッドさんの演技がスクリーンで見られる喜びも大きい。御年82歳。そのたたずまいのカッコよさにほれぼれした。23日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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