年末年始の家庭用ゲームソフトの販売は、思ったほどは伸びませんでした。著名なクリエーターの作品であっても簡単にはヒットしない時代です。ソーシャルゲームも競争が激しく、ゲーム業界はジェンガの積み木のような状態で、何かひとつ間違えると崩れそうな状況です。それでも独立系の開発会社などは、大手からの受託開発に見切りをつけて独自アプリの開発に踏み切っています。
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厳しい状況の中に自社で参入するのは、成功した場合のリターンが大きいからで、以前なら持ち込んでいた企画を自社で温めるケースも増えています。持ち込んだところで「KPI(重要業績評価指標)は?」とか、ゲームの面白さよりもビジネスの目標ばかり問われる状況で、「ならば自分たちでやってみる?」という実態もあります。
自社参入を後押しするのは、ゲームの開発環境の一般化です。家庭用ゲーム機向けの開発などはいまだにハードメーカーの供給する開発マシンとライブラリーが必要ですが、スマートフォン・ネイティブの時代にはウインドウズやマックがあれば作れるなどハードルが下がっていることです。またゲーム開発の裾野を広げようと活動している「UNITY(ユニティ)」社のツールの普及も要因の一つです。この手のツールは大がかりな商用利用でない場合は、無償で活用できるという部分も大きいでしょう。
私の周りにも大手のゲーム会社をやめて健康管理系のアプリを開発する人や、簡単なゲームを3人で開発している人たちもいて、既にサラリーマン時代よりも月収ベースでは超えてしまった例もあります。
また資金集めも選択肢が増えています。海外のパブリッシャーに販売も同時に委託して資金を集めたり、多数の人がインターネットを通じて資金を集める「クラウドファンディング」という方法もあります。国内では「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」や、「MotionGallery(モーションギャラリー)」などが有名ですが、米国の「Kickstarter(キックスターター)」は集金額がヒトケタ違ったりして、両国の違いを感じさせます。
つまり、企画さえあれば、ツールも資金もその気になれば集められるわけで、あとは「やるか」というモチベーション次第ということです。私自身も現在、「モンケン」(http://monken.jp/)というPC、スマートフォン向けのコンテンツを有志で開発していますが、このコンテンツの一連の作業を通して新しいコンテンツの作り方が見えてくると思います。
くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、映画・映像ビジネス、ゲームソフトビジネス、オンラインコンテンツ、そしてカードゲームビジネスなどエンターテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。黒川メディアコンテンツ研究所所長。黒川塾主宰。
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