ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第116回は樋口一葉の「ゆく雲」だ。
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皆さんこんにちは、乙葉しおりです。ゴールデンウイークはどのように過ごされましたか? 私は山の空気が吸いたくなって近場にサイクリングに出かけたんですけど、もうすぐ到着というところで突然雨が降ってきて……。雨宿りするには山頂まで行くしかなくて、結局着いた時にはずぶぬれになっていました……(>_<)。
しかも着いた途端に雨脚が遠のいて、すぐにやんでしまったという……でも、お陰できれいな虹を見ることができたから運がよかったのかもしれません。風邪もひかずにすみましたからね。
さて、そんなわけで早速始まるお誕生日の紹介コーナー、今回は朗読倶楽部のお話はお休みをいただいて、拡大枠でお送りしたいと思います。
5月2日 エドワード・エルマー・スミスさん(1890年生まれ・アメリカ)
SF作品における一大ジャンル「スペースオペラ」の父と呼ばれ、「レンズマン」「宇宙のスカイラーク」など、数々の英雄譚(えいゆうたん)を世に送り出しました。
5月3日 ドディー・スミスさん(1896年生まれ・イギリス)
1956年に発表されたダルメシアン犬の活躍を描いた物語「101匹わんちゃん」の作者として知られています。ディズニー映画でご存じの方も多いのではないでしょうか?
5月4日 アリス・プレザンス・リデルさん(1852年生まれ・イギリス)
世界的に有名な童話「不思議の国のアリス」は、作者のルイス・キャロルさんが彼女に語って聞かせた即興のお話がもとになっており、続編となる「鏡の国のアリス」にも彼女をモデルとしたエピソードが盛り込まれています。
5月5日 中島敦さん(1909年生まれ)
以前ご紹介したデビュー作「山月記」で知られる中島敦さんは、ぜんそくのため33歳の若さで早世しましたが、1年に満たない短い作家活動期間の中で、多くの作品を残されました。
レオ・レオニさん(1910年生まれ・イタリア)
大きなマグロに大勢の仲間を食べられてしまった小魚による大海原の冒険……。代表作の絵本「スイミー」は谷川俊太郎さんの翻訳で教科書にも掲載されており、ご存じの方は多いのではないでしょうか。
ヘンリク・シェンキェヴィチさん(1846年生まれ・ポーランド)
暴君ネロが悪政を行ったローマ帝国を舞台に、歴史上の人物を交えて繰り広げられる物語「クォ・ヴァディス」の作者として有名です。ラテン語の題名は「どこへ行くのか?」を意味し、哲学的な名ぜりふにもつながっています。
5月6日 ガストン・ルルーさん(1868年生まれ・フランス)
19世紀末のフランスを舞台に、パリ・オペラ座の若手女優を導く天使の声の謎を追う代表作「オペラ座の怪人」は、舞台や映画でご覧になった方が多いのではないでしょうか。
5月8日 宗田理(そうだ・おさむ)さん(1928年生まれ)
宮沢りえさん主演で映画化もされた「ぼくらの七日間戦争」を代表作とするぼくらシリーズは、1985年から続くロングラン作品となっています。
5月9日 ジェームス・マシュー・バリーさん(1860年生まれ・イギリス)
永遠の少年を描いた戯曲「ピーターパン」の生みの親として知られ、1906年にはピーターパンの名前を冠した初の本「ケンジントン公園のピーターパン」を出版しました。
以上、5月のゴールデンウィーク時期にお誕生日を迎えた9人の方をご紹介させていただきました。
■しおりの本の小道 樋口一葉「ゆく雲」
こんにちは、今回ご紹介するお話は、先日5月2日にお誕生日を迎えた樋口一葉さんの短編「ゆく雲」です。流麗な文語体で構成されたこのお話は、およそ120年前の1895年5月5日に発表されました。
タイトルの「ゆく雲」とは、中国・宋の時代の詩人・蘇軾(そしょく)さんの言葉「行雲流水(こううんりゅうすい)」が由来とされています。これは文字通り、空を行く雲のように、川を流れる水のように、ただ自然の成り行きに任せるさまをたとえたもので、本来はポジティブな意味で使われる言葉なのですけれど……。
野沢桂次さんは、東京で書生生活を送る学生の身。下宿先の上杉家は実家の親戚筋で、気難しいおじさんや後妻のおばさんはお世辞にも好人物とは言い難いものの、一人娘のお縫さんはおばさんの受けが悪いために「肩身の狭い思いをしている」という共通点もあって、何かと気になる存在でした。
そんなある日、造り酒屋をしている山梨の実家から、一通の手紙が届けられます。いわく、店主の養父・清左衛門さんが引退したがっているので、学校をやめて帰郷し、家督を継いでほしいとのこと。実の息子であれば「せめて卒業まで」と反発もするのでしょうが、養子の身である桂次さんにとって「嫌」と言える自由はありません。
貧しい家から養子に入って大店(おおだな)の跡取りに、さらに許嫁(いいなずけ)も待っている……という、人もうらやむ境遇に見える桂次さんですが、彼にとっては常に親族から監視されるだけの「雇われ社長」でしかなく、勝手に決められた許嫁にも愛情など持てるはずがありません。
自由を奪われた悲しみを理解してくれるのは、同じ境遇にある者だけ。彼はお縫さんに、その思いを吐露するのですが……。
……というわけで、あらすじだけ見ていると、ネガティブな意味での「ゆく雲」ぶりが伝わってくるかもしれませんね。「行雲流水」の二人が織りなす物語、ぜひご一読ください。文語体の教材としてもおすすめですよ。
※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。
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