朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第120回 「イソップ寓話」

「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん
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「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第120回は「イソップ寓話」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 「童話」……幼いころに、誰もが触れる物語の世界。絵本、寓話(ぐうわ)、おとぎ話、昔話、民話、呼び方はさまざまですが、皆さんはこれらの言葉から、どんな作家さんを思い浮かべるでしょうか?

 ひと口に童話と言ってもたくさんの作品があり、古今東西多くの作家さんが、自らのイメージをもとに物語を創作し、あるいは昔の伝承を語り継いできました。

 日本の創作童話では、宮沢賢治さんや新美南吉さん、伝承の再話では楠山正雄さん、世界に目を向けると、創作童話ではアンデルセンさん、伝承の再話ではグリム兄弟さんなど、当コーナーでも何度かご紹介させていただいています。

 ほかにも、失われかけていた日本の昔話を収集して紹介し、近代児童文学の父と言われた巖谷小波(いわや・さざなみ)さんや、グリム兄弟に先んじて多くの民間伝承を収集したシャルル・ペローさんなど、まだまだちゃんとご紹介したい方はたくさんいらっしゃるんですよね。

 実は、今挙げた作者さんのほかに、世界的に有名でありながら、まだ当コーナーでご紹介したことのない作品群があります。

 それが……後ほどご紹介させていただく「イソップ寓話」です。

 「寓話」……童話と寓話の違いは何なのか、皆さんはご存じですか? 実は私、呼び方の違いだけで似たようなものだと思っていたのですが……ぜひご覧になっていってくださいね(^−^)

 ではここで朗読倶楽部のお話、今回は4度目の「朗読大会」出場の記録です。

 それは10月も半ばを越え、前回出場の大会から2カ月になろうというころ……文化祭などの行事に追われ目まぐるしく時間が過ぎ、気が付けば4度目の大会まで残り2週間を切っていました。

 3度に及ぶ大会出場、夏合宿、朗読館などの実践を通じて少しずつ自信を深めていった私たちでしたが……、まさか、目の前にかつてない大きな試練が待ち受けていようとは……。

 これまでの実績がどの程度評価されたのか、学校側に掛け合った部長さん、ところがその返答は……実績不足と廃部を示唆されるという、予想だにしなかった苦境だったのです。

 今後も続ける「朗読館」活動のプラス評価が未知数である以上、期限までにこの状況を逆転する確かな方法は、残る二つの大会でなんとしても上位入賞を狙うほかありません。大会までのわずかな日々、少しでも不安を振り払おうと、夜遅くまで練習を続けました。

 しかし、焦りばかりが先立つ状況では上達するどころかミスばかり増えていき……部室の雰囲気もどんどん重苦しいものになる一方。迷走する私たちは、その出口を見つけることができないままに大会の当日を迎え、その結果は……上位を狙うどころか、入賞もかなわずというさんたんたるものでした。

 残るチャンスは、あと一度きり。後がないプレッシャーの中、大きな大会で上位入賞を目指すというハードルの高さをどうしたら克服できるのか。私たちは絶望し、身じろぎもできずにいたのです……と、いうところで、今回はここまで。

 次回もまた、よろしくお願いしますね。

■しおりの本の小道 「イソップ寓話」

 こんにちは、今回ご紹介するのは、アンデルセン童話やグリム童話に並ぶ知名度を持つ、世界でも指折りの、ためになるお話……「イソップ寓話」です。

 「寓話」とは、「たとえ話」を通して教訓を伝えることですが、童話にもこういった傾向が多く見られるために、しばしば童話の1ジャンルとして数えられることもあります。

 この作品の歴史は大変古く、今からおよそ2600年ほど前、紀元前6世紀の古代ギリシャの人物・アイソポスさんが記した物語とされ、ギリシャ語での彼の表記「Aesop」を英語読みすると「イソップ」になることから、「イソップ寓話」と呼ばれるようになりました。

 古くは「歴史の父」と呼ばれる紀元前5世紀の歴史家・ヘロドトスさんによる文献で紹介されているアイソポスさんですが、本当に実在する人物だったのかどうか、文献が少ないこともあって定かではありません。また、原典となる書物も確認されておらず、現在に伝えられる300を超える寓話の中には、最古の文献がラテン語のみの寓話もあることから、後世の人間によって再話や追記がなされていった作品も含まれると考えられています。

 ちなみに、日本では16世紀後半に「ESOPO NO FABVLAS.(エソポのハブラス/ラテン語でイソップ寓話)」としてローマ字で翻訳されて伝わったのが始まりで、後の江戸時代には「伊曾保物語」として広まりました。

 ではここで、皆さんもよくご存じと思われるイソップ寓話のエピソードから、特に有名な作品を挙げてみましょう。

 「アリとキリギリス」、「ウサギとカメ」、「オオカミ少年」、「北風と太陽」、「金の斧」……。

 いかがですか? タイトルを聞いただけで内容がわかる、そんな作品ばかりではないでしょうか?原典をご存じなくとも、今日目に入ってくるあらゆるメディア作品のどこかで、イソップ寓話の影響を受けたエピソードを一度は目にしているはずです。

 イソップ寓話には、ほかにもまだまだたくさんのエピソードがありますので、また機会を見てお話しさせてくださいね。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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