ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は「トカゲの王」(入間人間さん作、ブリキさんイラスト)です。アスキー・メディアワークス第2編集部の小野寺卓さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
魅力的なキャラクターたちと、入間人間作品ならではの文体&叙述トリックが見どころです。主人公の五十川石竜子(いかがわ・とかげ)は“リペイント”という能力を持っていまして……というと何かすごい異能力なのではと思われるかもしれませんが、自分の目の色を変えることができるという役に立つのかどうか微妙な能力です。しかし、本人はこの能力をいたく気にいっており、いわゆる“中2病的”なセリフとともに自由に扱えるよう、廃ビルで練習を重ねたりしています。
いつものように廃ビルに向かった石竜子ですが、運悪く殺し屋たちの戦いに巻き込まれてしまい、大けがをしつつも“リペイント”とハッタリでピンチを切り抜けるというのが序盤のストーリーです。石竜子と殺し屋たちのバトルシーンでは、緊迫感あふれる文章の中にいくつもの伏線が張り巡らされており、バトルの終結とともにトリックが明かされたときのカタルシスは、ぜひ味わっていただきたいです。これぞ入間作品の真骨頂という作品になっております。
−−作品が生まれたきっかけは?
「トカゲの王」シリーズがスタートしたときには、まだ担当についておりませんでしたので、どのような経緯で作品が生まれたのか詳しくは把握してはおりません。ただ、ほかの作品の場合ですと、入間さんはプロットをきっちり作るタイプではなく、ざっくりとした方向性を打ち合わせしただけとか、もしくは打ち合わせをほとんどしていない状態から原稿がドンっと上がってきます。さらに、上がってきた第1稿で、世界観や構成がほぼできあがっています。ですので、上がってきた原稿を読むたびに、今回はこんな作品になったのかと新鮮な気持ちで毎回読んでおります。
「トカゲの王」の場合も打ち合わせ段階では「能力バトルをしましょうー」ですとか「主人公はこんな感じでしょうかー」と詳しく決め込むような感じではなく、いろいろと話している中で何かピンときたものがあって、作品としてまとまったのだと思います。
−−作家とイラストレーターはどんな方でしょうか?
入間さんが普段着として着流しを好むというのは、入間ファンなら皆さんご存じかと思いますが、サイン会などのイベントだけでなく、編集部に打ち合わせにいらしたときなども着流し姿です。とても目立ちます(笑い)。入間人間公式サイト「入間の間」で、読者の方からの質問に回答を執筆していただいているのですが、本当にあの回答のような雰囲気でお話しされるので、打ち合わせがとても楽しいです。
イラストレーターのブリキさんは、「電波女と青春男」というシリーズでコンビを組んでいまして、引き続き「トカゲの王」でもイラストの雰囲気がピッタリだということでお願いすることになりました。気さくでフレンドリーな雰囲気で、ツッコミ気質です。会話しているとビシビシとツッコミが入ります。作家とイラストレーターは普段はあまり会う機会がなく、サイン会などのイベントくらいしか顔を合わせることがないのですが、イベントでお二人が話をしているのを聞いていると、入間さんとブリキさんは仲良しだなーと感じました。長く一緒にコンビを組んでいただいているというのもありますし、仕事以外の会話もたくさんしていたのでウマも合うみたいです。アダ名で呼んだりしてましたし(笑い)。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
私は、はじめは「アラタなるセカイ」という入間さんの別作品でサブ担当として付いていまして、それは「トカゲの王」がちょうど3巻目くらいのときでした。どちらの作品でも同じことを感じたのですが、作品をスタートさせるときにどのようなやりとりがあって始まったのかが分からないので、物語のゴールがある程度決まっていてそこに向かっているのか、シリーズとして進めながらどこかのゴールにたどりつくのか、どちらか分からないという点は大変でした。「トカゲの王」につきましては後者だと思いますので、この物語がどこにたどりつくのかに関われるというのはうれしくもあり、気持ちが引き締まる感じでもあります。
−−今後の展開は?
コミカライズの第3巻が27日に発売されます! 公式サイトの「入間の間」でも、引き続き短編小説や読者からの質問にお答えする「一問一答」など公開していきます。もちろん文庫も引き続き頑張ってまいりますので、ご期待ください! 入間さんは同時に複数のシリーズを並行して展開しているため、ほかのシリーズでも続巻を楽しみにしてくださっている読者の方がたくさんいらっしゃいます。どの作品をどのようなペースで刊行していくかは悩みどころですが、作品単体のファンというよりも入間さんという作家のファンですという意見をよくいただきますので、できるだけ多く、入間さんの作品を世に出し続けていければ、皆さまの期待にそえられるのではと思っております!
−−最後に読者へ一言お願いします。
「トカゲの王」もシリーズ5巻目まできまして、これから石竜子はどうなってしまうのだろう、リペイントとハッタリで天下を取ってほしいな!と期待したりしてます。作品がどのような方向に進んでいくかはきっと入間さんの脳内にいろんな引き出しがあると思いますので、その引き出しを開けたり閉めたり何か入れたりといった感じで作品に関わりながら、いち読者としても楽しみにしたいと思います。ほかのシリーズも含めまして、引き続き入間ワールドを楽しんでいただけると大変うれしいです。
アスキー・メディアワークス 第2編集部 小野寺卓
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