オリンピックの身代金:奥田英朗の傑作サスペンス 竹野内&松ケン初共演で今秋ドラマ化

テレビ朝日提供
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 直木賞作家・奥田英朗さんの小説「オリンピックの身代金」が今秋、テレビ朝日でスペシャルドラマ化され、俳優の竹野内豊さんと松山ケンイチさんが初共演することが24日、明らかになった。1964年の東京オリンピック開催を巡るサスペンスで、竹野内さんは冷静な捜査力で事件の真相を執拗(しつよう)に追う刑事・落合昌夫、松山さんは数々の事件の容疑者として警察に追われる貧しき大学院生・島崎国男を演じる。

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 ドラマは、「空中ブランコ」「ガール」などで知られる奥田さんが2008年に発表し、「第43回吉川英治文学賞」を受賞した小説が原作。1964年の東京。敗戦からの経済復興を世界に示す一大イベント「オリンピック」開催を目前に控え、熱狂に包まれる中、警察幹部宅や外務省などを狙った事件が発生し、一通の脅迫状が警視庁に届く。国家の名誉、警察の威信をかけた極秘大捜査の末、容疑者として浮かび上がったのは、名もなき一人の学生だった……というストーリー。テレビ朝日開局55周年を記念し制作され、今秋2夜連続で放送される。

 竹野内さんは自身が演じる落合刑事を「正義感の塊のような人」と前置きした上で、「そんな落合が、島崎という男の心の叫びに触れ、何が本当の正義なのかよく分からなくなってくる。その葛藤の中に、東京オリンピックという“光”の犠牲になってしまった地方の貧しい人々の心をどれだけ映し出すことができるか、そう考えたとき、『十分な覚悟をもって取り組まないといけない作品だ』と思いました」と話す。

 また「演じるたびに『落合の抱える葛藤とは何なのか』と考えては、自分自身も非常に悩みました。最後の最後まで、これほど悩んだ作品は久々です」とも明かす竹野内さん。そんな中、助けになったのが初共演となる松山さんの存在だったようで「瞳の奥に言い知れぬ力が宿っていて、言葉にならない叫びをすごく静かに、かつ絶妙に演じ、もう島崎にしか見えなかった。特に、クライマックスのシーンで彼と対峙(たいじ)したときは、自分の心にもスッと落ちる何かがありましたし、本当にすごい俳優だと思いました」と振り返っている。

 一方、出版直後に小説を読み、映像化されるなら島崎を演じてみたいと思っていたという松山さんは「人は表面的に話すことや表現することと、内側に抱いていることが必ずしも一致するわけではないと思います。島崎という役柄は特にそういう部分が強いと思ったので、悲しみや喜び、怒りといった感情をできるだけ抑え、表に出さないよう演じることを意識しました」とコメント。

 さらに「竹野内さんのおかげで、対立関係にあるはずの落合と島崎の間にある“つながり”をキッチリと表現できたと思います。『オリンピックの身代金』は、そんな竹野内さんをはじめとする素晴らしいキャストやスタッフとともに作り上げた“今しかできない作品”。ぜひご覧いただきたいです」と自信を見せている。(毎日新聞デジタル)

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