エージェント:ライアン:プロデューサーに聞く 今作は「考える男の“アクション”スリラー」

(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
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 1990年公開の「レッド・オクトーバーを追え!」を皮切りに、「パトリオット・ゲーム」(92年)、「今そこにある危機」(94年)、「トータル・フィアーズ」(2002年)と続いてきたジャック・ライアンシリーズ。シリーズ最新作「エージェント:ライアン」が15日から全国で公開される。ベストセラー作家トム・クランシーさんが生み出し、これまで、ハリソン・フォードさんらが演じてきたジャック・ライアン。その4代目を演じるのは、「スター・トレック」(09年、13年)シリーズで若かりしころのジェームズ・T・カークを演じたクリス・パインさんだ。シリーズ“ゼロ”(シリーズの前日譚)に当たる今作では、全世界を標的にしたテロ計画が発覚。それを阻止すべく奮闘するライアンを描きながら、中央情報局(CIA)捜査官ジャック・ライアンの誕生秘話をひもといていく。シリーズ1作目からプロデューサーを務めてきたメイス・ニューフェルドさんが、今作について電話インタビューに応じた。

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 −−映画は、2001年の米同時多発テロ発生時から始まり、ライアンは英国に留学中の大学生という設定でぐっと若返りました。

 今回の作品は、ライアンがCIAに入る前の話、つまり、CIA捜査官ジャック・ライアン誕生の話なので、彼を若返らせることにしたのです。

 −−今作には、原作となる小説は特にないとうかがっています。原作ファンの期待を裏切らないストーリーが必要となりますが、ニューフェルドさんご自身は、今回の脚本にどのようなことを期待したのでしょう。また、どのような点が気に入りましたか。

 これは、トム・クランシ−が描いたキャラクターに基づき、アダム(・コザッドさん)とデビッド(・コープさん)が書いたオリジナルストーリーです。2人が書いた脚本には、面白いアイデアがたくさんありました。それは、ある国の絶滅、米国ドルを暴落させ経済破綻をもくろむというこれまでにないストーリーでした。それがメインであり、その計画を阻止しようとするライアンの話というところが、とても気に入りました。

 −−ライアンを演じているのがクリス・パインさんです。彼を起用した決め手はなんだったのでしょうか。

 「スター・トレック」シリーズでは、彼は、かつて別の俳優が演じていたキャラクターを見事に自分のものにしていました。ほかにも、彼が出演した2本の演劇を見ました。年齢も今回の役にふさわしく魅力的。もちろん俳優としての技量も優れていたので起用しました。実際、彼が演じたジャック・ライアンは、われわれスタッフ全員が満足できるものになりました。きっと観客のみなさんも同じ意見でしょう。

 −−監督はケネス・ブラナーさんが務めています。ブラナーさんが監督した「マイティ・ソー」(11年)が成功しているとはいえ、彼には“シェークスピア俳優”や“古典劇の演出家”のイメージがあります。今回、監督としての彼に期待したのはどのようなことだったのでしょうか。

 ケネス・ブラナーは、今回の脚本を読んで強い興味を示してくれました。最初の打ち合わせまでに、これまでのライアン・シリーズをすべて見て、トム・クランシーの原作を何冊も読んで来てくれたのです。私たちは、彼の今までの仕事を認めていましたし、もちろん、彼自身が技量のある俳優であることも知っています。ですからぜひとも彼を起用したいと思ったのです。彼には、これまでのジャック・ライアンの魅力はそのままに、アクションを増やしてほしいと話しました。

 −−残念なことに、原作者のトム・クランシーさんが昨年10月に66歳の若さで亡くなりました。

 彼は、この作品を見ることなく亡くなりました。脚本も読んでいません。しかし、クリス・パインがジャック・ライアンをやると聞き、とても喜んでいました。「スター・トレック」を見ていて、とても気に入ったそうです。彼が亡くなったのは非常に残念ですが、しかしそのことが映画に影響することはないと思います。彼が作り上げたキャラクターたちは、今後も生き続けます。

 −−シリーズ化の構想はあるのでしょうか。

 ぜひそうしたいと思っています。しかしそれは、今回の映画がヒットするかどうかにかかっています。ヒットすれば、シリーズとして続くでしょう。

 −−あなたは、「レッド・オクトーバーを追え!」からこのシリーズに関わっています。何があなたをこのシリーズに引きつけるのでしょう。

 これまでの4作はとても成功しています。ジャック・ライアンというキャラクターは非常に独特で、ジェームス・ボンドをはじめとするほかのアクションヒーローとは別の性質を持っています。非常に知的で、いろんな情報を処理する能力にたけていて、問題を解決し、ほかの人ができないことをやってのけるのです。私たちはこれまで、このシリーズを「考える男のスリラー」と呼んでいましたが、今は「考える男の“アクション”スリラー」と“アクション”が追加されました。

 −−数々のヒット作を生んできたあなたが、作品や企画選びの際、重要視することはどのようなことでしょうか。

 まず、自分が興味を持てるかどうかということです。私のテイストは、観客のものと変わらないと思います。ですから、強い興味を持ち、いい脚本を仕上げることができれば、いい映画にできる。そうすれば、観客も私が作ったものについてきてくれると思います。

 −−今作の魅力は、アクションと核爆弾が目玉の従来のスパイ映画とは違い、情報戦や世界経済の破綻を狙ったテロ行為といった、時宜にかなった内容が盛り込まれているところにあると思います。プロデューサーとして、ニューフェルドさんご自身が考える今作の魅力をお聞かせください。

 いくつかありますが、一つはジャック・ライアンと婚約者(キーラ・ナイトレイさん)の関係です。はじめは、彼女はライアンがCIAの仕事をしていることを知りません。その彼女を、ライアンはロシアで救うことになります。また、ニューヨークがテロ行為にさらされるという展開もあります。そうした非常に面白い部分が、物語の中にたくさんあるのです。

 −−改めて見どころをお願いします。

 特に、私からこういうメッセージがある、ということはありません。とにかく楽しんでほしい。私はただ、人を楽しませたいだけなのです。

 <プロフィル>

 1928年、米ニューヨーク州生まれ。76年、「オーメン」を製作し、世界的ヒットを記録。その後、シリーズ化され、プロデューサーとしての地位を確立した。その後、携わった「レッド・オクトーバーを追え!」(90年)にはじまり、「パトリオット・ゲーム」(92年)、「今そこにある危機」(94年)、「トータル・フィアーズ」(2002年)のジャック・ライアン・シリーズがヒット。また、「ビバリーヒルズ・コップ3」(94年)、「サハラ 死の砂漠を脱出せよ」(05年)、「インビクタス/負けざる者たち」(09年)を世に送り出した。ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞や、放送映画批評家協会賞など多数の受賞歴を誇る。また、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムの星形プレートも授与されており、ハリウッドで尊敬されているプロデューサーの一人。

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