注目映画紹介:「ネイチャー」 最先端4K3Dカメラで神秘の大自然を映し出した

(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
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(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014

 「ディープ・ブルー」(1999年)、「アース」(2007年)などのBBC EARTHの自然ドキュメンタリー最新作「ネイチャー」が公開中だ。最先端の映像技術である4K3Dカメラを用いて、迫力映像で神秘の大自然を映し出した。“水”を案内役に、マウンテンゴリラが生息するビルンガ山地の森、カメレオンがいるナミブ砂漠などの七つの場所と生き物の姿を撮影した。監督は「ウォーキング with ダイナソー」(13年)のニール・ナイチンゲールさんとパトリック・モリスさんが担当し、日本語ナレーションは滝川クリステルさんが務めた。

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 街で雨が降ってきた。ぬれないように走る人々の中、一人の少女が雨粒の神秘に魅せられて喜んでいる。謎の案内人が現れて、少女を未知なる大自然の世界へと誘う。アフリカ中央部の熱帯雨林。世界でもここにしかいないとされるマウンテンゴリラの家族が映し出される。燃え盛る火山の有毒ガスが流れ込む湖では、コフラミンゴが求愛ダンスを繰り広げる。世界最古の砂漠といわれるナミブ砂漠では、小さな生き物たちがサバイバル術を披露。焼けるような平原では、アフリカゾウが水源を目指して移動する。紅海のサンゴ礁は海の森のようだ。雪が降る赤道直下の高山では昼は夏、夜は冬という厳しい環境の中、ゲラダヒヒが社会を形成している。激流となる川、巨大な滝。水辺に身をひそめていたナイルワニが、ヌーを一瞬で仕とめる。雷がとどろき、雨嵐が吹き荒れ、やがて静寂に包まれる……という展開。

 カメラの技術革新とともに歩んできたこの分野だが、今回、4K3Dで見る映像には「ものすごい!!」という陳腐な言葉しか出てこないほど圧倒される。雨粒から始まり、ユネスコ世界遺産「ビクトリアの滝」まで、“水”が形態を変えながら案内役となってシーンをつなげていき、循環する大自然と人間とのつながりを感じさせる。連なる山々の上を吹く風になった視点で見下ろす風景は爽快だ。火山と同じ赤色に染まったコフラミンゴの美しい群れをとらえ、羽毛のフサフサまで感じさせる。川に潜むワニは限りなくワイルドで、カメレオンの捕食は音楽を効果的に使ってユーモラスに演出している。水中のサンゴ礁は5Kの水中3Dカメラを使用し、嵐雲の映像はモーションコントロール微速度撮影をしている……と技術的な製作秘話には事欠かないが、ケニア山にカメラ機材を運んだり、滝にケーブルを掛けたりなどの人海戦術もかいま見られる。2日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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