赤い公園:2枚目のアルバム「猛烈リトミック」発売 タイトルは子供の成長過程を意識?

2枚目のアルバム「猛烈リトミック」について語った赤い公園のボーカルの佐藤千明さん(左)とギターの津野米咲さん
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2枚目のアルバム「猛烈リトミック」について語った赤い公園のボーカルの佐藤千明さん(左)とギターの津野米咲さん

 4人組ガールズバンド「赤い公園」が、24日に2枚目のフルアルバム「猛烈リトミック」をリリースした。「リトミック」とは、音楽を通した子供の情操教育のこと。ギターの津野米咲(つの・まいさ)さんは、人気グループ「SMAP」のシングル曲「Joy!!」の作詞・作曲を手がけたことでも知られ、最近はバンドとしての活動に一層注目が高まっている。実はメンバーの中では「人見知りでシャイな方の2人」というボーカルの佐藤千明さんとギターの津野さんに、バンド結成のきっかけや新作の話を含む近況について聞いた。

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 −−皆さんは東京都東村山市の都立高校の軽音楽部で知り合い、津野さんは他の3人のメンバーの1学年上の先輩だったそうですね。高校時代の思い出や結成当初のエピソードを教えてください。

 佐藤さん:米咲先輩の代から、オリジナルソングを軽音楽部内で書いて、いい曲を文化祭のテーマソングとして使おうみたいなことがあったんですよ。その最初の1曲目に米咲先輩の曲が選ばれて、昼休みに毎日流れてたんです。その曲が、普通に誰かが趣味でCDを流してるんだろうなっていうぐらいのクオリティー(の高さ)で、ポップでキャッチーだし。でもそのあとに米咲先輩が組んでいたバンドのライブを見て、そのときはお客さんに背を向けてギターを弾いてたから、照れ屋だなって。すごいギャップでしたね。

 津野さん:「助けてください。ライブが決まってるのにギターの子が辞めちゃって……」っていうので私はサポートで(赤い公園に)入ったんです。ライブまでの1週間の中で、私は結構、練習してたんですけど、他のやつらが全然練習してこなくて。まあ、ちょっと殺意は芽生えましたね(笑い)。面白かったですけど。

 −−赤い公園というバンド名の由来は?

 津野さん:友達が適当に付けてくれたんです。「俺のおばあちゃんちの団地の下の公園が赤い公園っていうんだけど」って言って、じゃあそれでいいやって。しかも赤い公園って名前じゃなくて(地元で言われている)あだ名みたいな感じで。私、1回その団地に見に行ったんです。もうね、色あせずぎてピンク味がかったクリーム色のゾウさんがいた(笑い)。でもまあいいや、私たちが「赤い公園」だから。世界で一つの色あせない赤い公園でありたいなっていう。

 −−津野さんはSMAPの「Joy!!」を作詞・作曲していますね。働く方々へのエールともいえる内容ですが、どんなイメージでこの詞を書いたんですか?

 津野さん:働く方々へのエールというのは、私たちは、まだ若いっていうのと、こういう(バンド)シーンにいるということで、もっと別の形じゃないと発信できないと思うんです。でもSMAPさんは(テレビでの活動が主体という意味で)テレビマンですから、もっと大きな意味での「気を抜いていこうぜ」みたいな、明るいものを提示してもらえたらうれしいなと思って。5人で「Joy!! Joy!!」って言ってくれたらいいなーと思って、デモテープで「Joy!! Joy!!」ってメッチャ叫んだ。メンバーも(楽曲提供が)決まったときはメッチャ喜んでくれました。

 佐藤さん:米咲先輩もあんまり感情を出さないから(決まったときは小さいガッツポーズをしながら)「ヨッシャ!」みたいな感じだったんですけど、「それで終わりなの? 酒買って来いや! 乾杯しようよ!」って(笑い)。

 −−なるほど(笑い)。では、新作「猛烈リトミック」についてお聞きしたいのですが、すごく振り幅がある15曲が収録されていますね。どんなきっかけから曲が生まれるんですか?

 津野さん:マンガを読んでいてっていうこともあるし、「いちご」という(「最後のいちご」というワードが入った)曲は、ホントにコンビニで買ってきたショートケーキのイチゴを食べていて、「あっ」と思って作ったり。それをスタジオに持って行って、みんなで「そこ笑えるー。採用ー」みたいな感じでやってます。カッコいいとみんな笑うんです。例えば「ひつじ屋さん」という曲は、カッコいいというか、自分たちでやったことないぐらいパワフルで、許容範囲を超えていて笑っちゃったんですよね。でも笑えるってきっと、とんでもないものを受け取ってるときの“防衛反応”だと思って、笑えるって正義だなと思いました。

 −−8曲目「TOKYO HARB0R feat.KREVA」は、KREVAさんがラップで参加しているシティポップですね。

 津野さん:デビュー前からあった曲で、東京湾の高速あたりをドライブしてる男女のことを歌ってるんですけど、女の子の目線でしか書いてないので、男性の声と言葉があるといいねってみんなで言っていて、それこそ高校時代からお昼の放送でずっと聴いていて大好きなKREVAさんにお願いできたらなって。KREVAさんの歌詞が入ったことで(歌詞の男女の関係が)明確になって、2人は同じ会社で、営業に回ってるんですよね。営業の帰りの時間は決まってるから、どこに行ったって帰りの時間は変わらないよっていう時間に限りのあるドライブ。冗談半分の関係なんですよね。

 佐藤さん:この曲はすごくアダルトで大人な恋愛って感じで、寝起きの声って低くて色気があるから、1回それで歌ってみようと思って歌ったら、これ、仮り歌なんですけどオーケーだったんです。ちょっとはアダルティーになったかなと思って、それでKREVAさんの歌が来たから、もうアダルトを通り越して耳が“妊娠”しそうでした(笑い)。

 −−前作「公園デビュー」に続く「猛烈リトミック」で、タイトルは子供の成長過程というものを意識した部分もありますか?

 津野さん:そうですね。自分たちにとってアルバムが子供というところで、デビューして2年で今回2枚目で、「公園デビュー」のジャケットに写っているベビーカーの赤い玉の子供は何歳ぐらいなんだろうね、リトミックとか習ってるのかな?みたいな感じで決まりました。まあ、(サッカー・ワールドカップの)アルゼンチン戦を見ながらだったんですけどね。

 <プロフィル>

 ボーカルの佐藤千明さん、ベースの藤本ひかりさん、ドラムの歌川菜穂さんによるコピーバンドにギターの津野米咲さんがサポートで加入する形で結成。結成日は初めて4人でライブを行った2010年1月4日。12年2月にミニアルバム「透明なのか黒なのか」でデビュー。翌13年8月に初のフルアルバム「公園デビュー」を発売。初めてハマッたポップカルチャーは、佐藤さんがテレビの戦隊シリーズ「忍者戦隊カクレンジャー」と「仮面ライダーアマゾン」、津野さんがテレビアニメ「愛と勇気のピッグガール とんでぶーりん」のオープニングテーマ曲「愛はカッコわるい」。佐藤さんは「兄弟がいて、戦隊モノをすごく見てたんです。『カクレンジャー』と『アマゾン』は大好きでした。4、5歳のときですね」と話し、津野さんは「パーキッツというユニットの『愛はカッコわるい』は今も大好きで、高校のときのライブで、ピアノで弾き語りしました」と話した。

 (インタビュー・文・撮影:水白京)

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