これまで数々のバンパイア映画に登場してきた吸血鬼ドラキュラの誕生秘話を描いた映画「ドラキュラZERO」(ゲイリー・ショア監督)が31日から全国で公開される。15世紀、トランシルバニア地方を治めていた実在の君主ブラド3世が、なぜ人間の生き血を吸うバンパイアとして人々に語り継がれるようになったのかを、史実を織り交ぜ、最新のVFX(ビジュアルエフェクツ、特殊効果)を駆使して撮り上げたアクション娯楽作だ。映画「ホビット」シリーズ(2013~14年)で弓の達人バルト役で出演しているルーク・エバンスさんが、民衆のために悩み、苦しむ名君主ブラドを演じている。
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父ブラド2世亡きあと、トランシルバニア地方の君主となったブラド3世(エバンスさん)は、民衆から慕われ、妻ミレナ(サラ・ガドンさん)と息子と幸せに暮らしていた。そんな中、欧州侵略を狙うオスマン帝国の皇帝メフメト2世(ドミニク・クーパーさん)が、上納金の増額と、ブラドの息子を含む少年1000人を差し出せと迫ってくる。拒否すれば戦争は避けられない。覚悟したブラドは、山の中にいる“闇の力”と契約を結び、超人的な力を手に入れ、国と家族を守ろうとするが、それには大きな代償を支払わねばならなかった……というストーリー。
ドラキュラがどのようにして生まれたかを描く前日譚(たん)。実在のブラド・ドラキュラが幼年期に置かれた境遇、その後、長じて民衆から慕われる名君主となったこと、その彼がなぜ吸血鬼として語られることになったのかが、独創的なストーリーとともに描かれていく。「串刺し公ブラド」の異名を取るようになった経緯にも触れ、ドラキュラを血を吸う化け物ではなく、愛する妻子がいて、民を守るために悪魔に魂を売り渡した男という、あくまでも“人間味ある人物”として描いている。苦悩し悲嘆にくれるブラドを目の当たりにし、これまでのドラキュラのイメージが覆った。その一方で、彼が悪魔との取引によって手に入れた、たぐいまれな視力、聴覚、俊敏な肉体でオスマン帝国の大軍をなぎ倒していく場面では、コウモリを操るなど幻想的かつシャープな映像表現に目を奪われた。31日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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