武田鉄矢:高倉健さんとの思い出明かす 「健さんは“背中”の人」

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 10日に亡くなった俳優の高倉健さんの代表作「幸福の黄色いハンカチ」(山田洋次監督、1977年公開)が28日午後9時から「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で放送される。同作で俳優デビューを果たした武田鉄矢さんに撮影当時の思い出や高倉さんへの思いを聞いた。

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 「若かったし、初めての映画だったので、昨日のことのように思い出す」と、約1カ月かけて北海道ロケが行われたという当時を振り返りながら、「健さんから褒めてもらったり、しかられたり……」と懐かしそうに話し出した武田さん。会社を辞めて北海道へドライブの旅に出た青年・欣也(武田さん)が、失恋の痛手を負った朱美(桃井かおりさん)、炭鉱労働者だという勇作(高倉さん)と出会い、3人で旅をするロードムービーだが、撮影が進むにつれてストーリーと重なるように3人の距離も次第に縮まっていったという。

 「山田組は皆で食事に行くんですが、高倉さんから『いっぱい食べるな。出かけるぞ』と書いたメモが回ってきて。(桃井さんと)食べたふりをしてその場を抜け出したら、健さんが車に『乗れ乗れ』って。車をすっ飛ばして着いたのは健さん行きつけの秘密のレストランで、丸ごと貸し切ってあった。『好きなだけ食べていいぞ』『言いたいことがあれば言え』って言われたからわーわー(愚痴を)言って。でも、その話を健さんがテープレコーダーに録音して、次の日から監督が通りかかるとテープレコーダーのスイッチを入れようとするんです。くすくす笑って、からかいながら……そういうことで仲良くなった」と高倉さんのおちゃめな一面を明かし、「健さんのリードでそういう雰囲気が作れたんじゃないかな」と語った。

 「一生懸命やっていると、必ず褒めてくれる人だった」と話す武田さんは、「自分が主役をやることになったらなるべく新人の人には優しくしてあげようって思った」という。映画の公開から2年後、武田さんが主演を務めるドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)がスタート。生徒役の新人俳優ばかりの現場で武田さんは「厳しく優しくしよう」と心に決めた。「健さんを気取ってじゃないけど……」と照れ笑いを浮かべた。

 十数年前、武田さんの母親が亡くなった際には高倉さんから電報が届いたという。「つらいことがあっても、いつも気にしてくださっているという支えを感じる人でしたね。お会いしなくてもどこかで見ていてくださると感じていました」としみじみと語り、「健さんは“背中”の人。後ろ姿がいい人。分かりやすく言えば憧れ。あんな風貌になりたいですね。あんな大人になりたい、あんな男になりたいという……」と思いをはせていた。

 「ありがとう高倉健さん『幸福の黄色いハンカチ』」は、28日午後9時から放送。20分拡大で、デジタルリマスター版をノーカットで放送する。

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