「ファミリー・ツリー」(2011年)や「ダイバージェント」(14年)などの作品で知られるシャイリーン・ウッドリーさん主演の青春映画「きっと、星のせいじゃない。」(ジョシュ・ブーン監督)が20日から全国で公開される。ニューヨーク・タイムズの12年のベストセラー第1位になった小説「さよならを待つふたりのために」を映画化したもので、作者ジョン・グリーンさんはこの小説を16歳の若さで他界した女性の友人をモデルに書き上げたという。ウッドリーさんの相手役には「ダイバージェント」で共演したアンセル・エルゴートさん。ほかにローラ・ダーンさん、ウィレム・デフォーさんらが出演している。
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17歳のヘイゼル(ウッドリーさん)は末期のがん患者だ。今は抗がん剤が効き、小康状態だが、酸素ボンベは手放せない。あるときヘイゼルは、両親の勧めでがん患者が集まるサポートグループに参加し、そこで片脚と引き換えに骨肉腫を克服した18歳のオーガスタス(エルゴートさん)と知り合う……という展開。
末期がんの患者をヒロインにした恋愛青春映画となると、涙、涙の物語を想像するが、この作品にはジメジメしたところがない。むしろ爽やかな後味を残している。なぜなら、“死を待つ2人”ではなく、あくまでも“生きている2人”を描いているからだ。DVDを一緒に見る2人、LINEで会話する2人、偶然、手と手が触れ合いハッとする2人……すべて、普通の若者がすることと何ら変わりない。ただ違うのは、ほんの少し残された時間が他のの人より短いことだ。毎日を、楽しいこともつらいこともひっくるめて受け止め、ときには皮肉なジョークを飛ばしながら生きているヘイゼルとオーガスタス。そんな彼らがたまらなくいとおしく見える。2人の軽妙な会話には、こちらが勇気づけられる場面も。誰もが2人を応援し、すがすがしい気分で席を立てることだろう。20日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。今、映画「アメリカン・スナイパー」の主人公の回顧録「ネイビー・シールズ 最強の狙撃手」(原書房)を読んでいる。作者がすでにこの世にいないことが思い出されるたびに、胸にズキンと痛みが走る……。
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