大衆演劇界のスターとして活躍した俳優の早乙女太一さんに密着したドキュメンタリー番組「ノンフィクションW 早乙女太一 旅立ちのラストショー~大衆演劇『劇団朱雀』最後の30日~」が、13日にWOWOWで放送される。番組は、2015年2月に解散した早乙女さんが所属する大衆演劇「劇団朱雀」の最終公演までの30日間に密着。番組の放送を前に、早乙女さんが心境を明かした。
ウナギノボリ
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――「劇団朱雀」解散公演の時はどんな心境だったのでしょうか。
(解散公演のことを思い出すと)日々よりよい舞台を、とひた走っていた感じでした。今までの中で一番いい公演にしなければという気持ちが大きくて、これで解散ということもあまり意識せず……。千秋楽の前日にやっと実感が湧いてきて、千秋楽の幕が下りたときはなんとも複雑な気持ちでした。(WOWOWの)取材カメラが入っていることも意識していなかったので、ドキュメンタリーではどんな自分が映っているのか、想像もつきません。
――「劇団朱雀」の解散には相当の覚悟が必要だったのではありませんか。
突然、決めたわけではなく、以前から「いずれは解散したい」と座長である父には伝えてありました。僕は、いつの間にか劇団の先頭に立っていて、なのに、その重荷をちゃんと背負えていなかった。大衆演劇というものに胸を張れない時期もあったのですが、大衆演劇にしかない面白さを見つけてから楽しんで舞台に立てるようになりました。だから今回はそこを超えて、僕を含め劇団員のみんなが新しい挑戦をできるようにという、前向きな解散だったんです。
――番組の中で、歌手の石川さゆりさんの曲「歌麿-UTAMARO-」に合わせた踊りのほか、時代劇「川北長次」も登場します。
(「歌麿-UTAMARO-」では)ずっとこだわってきた女形の完成形を見せようと思いました。「川北長次」では主役の長次を演じましたが、実は劇団でこの芝居をやるのはまだ数回目。ゲストの山崎銀之丞さんが人斬りの松五郎を演じてくれて、これまでも力になってくださった恩人ですが、銀之丞さんと最後に立ち回りをできたのは、とてもうれしかったです。
――解散公演後、松山ケンイチさんとダブル主演を務める連続ドラマW「ふたがしら」(同局)の撮影に入り、盗賊の宗次も演じています。
いざ公演が終わってみると、自分が言い出して解散したんだという思いがのしかかっていたので「連続ドラマW」という一歩踏み出せる場所があってよかったです。宗次は親方の遺志を継ぎ、弁蔵(松山さん)とともに盗賊一味を抜けて、何かを探しに旅に出る。それが劇団を解散した自分と重なって、すぐに共感できたし、この時期にそういう役を演じられて、すごくありがたかったです。
ドキュメンタリー番組「ノンフィクションW 早乙女太一 旅立ちのラストショー~大衆演劇『劇団朱雀』最後の30日~」はWOWOWプライムで13日午後1時から放送。関連番組として、同日午後1時45分から舞台公演「劇団朱雀 解散公演『FINAL』早乙女太一」も放送される。連続ドラマW「ふたがしら」は、WOWOWプライムで13日から毎週土曜午後10時に放送。全5話。第1話は無料放送。
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