三池崇史監督がメガホンをとり、俳優の市原隼人さんが主演を務める映画「極道大戦争」が20日に公開される。伝説のヤクザの正体がバンパイアで、かみつかれた人間はヤクザ化してしまうという異色の設定のオリジナル作品で、ヤクザ・バンパイアとなった主人公がたどる運命が描かれる。成海璃子さん、リリー・フランキーさん、高島礼子さんらが脇を固め、三池監督が作り上げた奇想天外な世界観を個性的なキャラクターたちが盛り上げる。
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敏感肌のため刺青すら入れられない影山亜喜良(市原さん)は、毘沙門仲通商店街を牛耳り最強伝説を持つヤクザの親分・神浦玄洋(リリーフランキーさん)に憧れ、ヤクザになった。ある日、毘沙門通りに謎の刺客が現れ、影山と神浦は倒されてしまう。絶命間際の神浦にかみつかれた影山はヤクザ・バンパイアとして超人的な能力を身につけるが……というストーリー。
ここ最近、原作ものや感動作などが続いていた三池監督だが、久しぶりに独自色を前面に押し出している。かみつかれたらヤクザ化してしまうという設定から始まり、ふんだんに盛り込まれたアクションやバイオレンス描写、コメディーにホラーなど、映画というエンターテインメントに関わる要素がほぼすべて詰め込まれた前例なきジャンルの作品に仕上がっている。“遊び心”という言葉では片付けられないほどの荒唐無稽(むけい)ぶりは見る者の期待を裏切り、ついにはゆるキャラや着ぐるみの概念まで覆し驚かせる。キャストについても、主演の市原さんのカッコよさはもちろん、暴れ回るリリーさんやまさかの若頭役の高島さんなど意表を突きまくった役どころで楽しませてくれる。とにかく驚いたり想像のはるか上をいく展開を楽しみたいという人に見てほしい。深く考えたら負け……という映画もたまにはいい。20日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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