ディズニーのアニメーション「アナと雪の女王」や宮崎駿監督「風立ちぬ」とともに第86回米アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた話題作「くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ」(バンジャマン・レネール、ステファン・オビエ&バンサン・パタール監督)が22日から公開される。ベルギー生まれの絵本作家ガブリエル・バンサンさんの絵本シリーズが原作。美しい水彩画を背景にネズミとクマの友情を描く。
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セレスティーヌは絵を描くことが好きなネズミの女の子。地上のクマの世界でゴミ箱に閉じ込められてしまった。クマのアーネストおじさんは森に一人で住んでいる。お金がなくおなかをすかせたアーネストがゴミ箱をあさると、そこにセレスティーヌが眠っていた。セレスティーヌはアーネストに食べられそうになるも、お菓子屋さんの倉庫へと案内。お菓子を食べつくしたアーネストは警察につかまってしまうが、セレスティーヌによって助けられる。次第に仲よくなっていった2人は、やがて一緒に暮らし始めるが……という展開。
原作絵本がそのまま動いているようで、とっても楽しい。繊細で温かみのあるタッチのキャラクターは動きも可愛らしく、水彩画の背景は、細部一つ一つを目で追ってしまいたくなるほど凝っている。可愛くて賢いネズミの女の子と、ダメなのに憎めないクマのおじさん。セレスティーヌは絵を描くことが好き。アーネストおじさんは音楽が好き。芸術家肌の2人はそれぞれの社会から少しはみ出している。2人がほのぼのと交流する話かと思いきや、いい意味で物語は予想外の展開へ。辛らつに人間社会が映し出されていく。広場で音楽を奏でながら物ごいをするアーネストは、警察に「騒音」として罰金の切符を切られる。セレスティーヌには、クマの歯を集めるノルマがあり、数を達成せよと歯医者に怒鳴られる。敵対し合っているクマとネズミの社会。でも、地上と地下で広がる二つの世界では、同じようなことが行われている。終盤にいくに従って対立と混沌(こんとん)が表出していき、それらがアーネストとセレスティーヌの優しさによって溶けるとき、温かな感動が広がっていく。シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)で22日からモーニングショーで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。好きな絵本は佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」(講談社)です。
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