SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第15回は、小新井さんが一人で劇場版アニメを見に行く“孤独のアニメ”について語ります。
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テレビシリーズの総集編や新作、オリジナル作品、OVAの特別上映などなど、最近はゴールデンウイークや長期休みに限らず、一年中どこかしらの映画館でアニメが上映されています。
普段はなるべく外に出たくない私でさえ、やっぱり映画は劇場で楽しみたいと映画館に足を運ぶ機会が増えました。ポップコーンを分け合ったり上映後に感想を話しあったり……。映画館には家でアニメを見るときには味わえない楽しみがありますよね。
がしかし!残念なことに小新井は大抵“ひとり鑑賞”です。私に関してはただのボッチ体質が原因なのですが、テレビシリーズの劇場版には作品を見ていない人を誘いにくかったり、一日にまとめて何本も観たいとなると一人の方が動きやすかったりと、やむを得ずひとり鑑賞という人もいると思います。
それでもひとりはひとり。映画館ならではの“誰かとの鑑賞”ができないのであれば、大画面、高音質とはいえ、家でひとりDVDをみているのと変わらないことなのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません! マンガやアニメの世界にもいらっしゃる「孤独のグルメ」の五郎さんや「ワカコ酒」のワカコさんのようなおひとり様上手を見てください。たとえ周りをカップルに囲まれていようとも、頼んだポップコーンが多すぎて食べきれなそうであっても、ひとり映画館でアニメを楽しむことの醍醐味はあります。偉大な先人に習って“孤独のアニメ”と勝手に名付けたその映画鑑賞方法を紹介いたしましょう。
孤独に映画館でアニメを楽しむ上で何よりも素晴らしい点は、まさに全身全霊で作品を楽しめるところです。いくら映画館が真っ暗とはいえ泣いたり笑ったりという所作は周りの人に伝わってしまうものですよね。
映画をみながらワカコさんばりに心でモノローグし、五郎さんばりの百面相をしてしまう自分としては、4DXで「進撃の巨人後編~自由の翼~」を見ながら兵長にけられる衝撃にニヤニヤしているときのような顔はとてもじゃないですが人さまには見せられません。
そんな時、孤独であれば誰からも見えないすみっこの席を選び、思うがまま感情を吐き出して作品を楽しむことができるのです。周りの空気を気にせず自分が泣きたいときに涙も流せるので、一緒に来た友だちに「えっ!なんで『プリパラ』でそんな号泣してんの!?」と引かれる心配もありません!
モノローグだけでは満足できないほどの感動は、鑑賞後にSNSで共有することで、タイミングがよければ同じ時間に作品を観終わった人たち同士の“誰かと一緒に鑑賞した後のような感想の語り合い”をすることだってできちゃいます。ボッチに優しい世の中になったものです……。
しかしただ一つ、アニメ映画だからこその孤独な悩みと呼べるものもあります。それは豪華な前売り券や入場特典に対して“人海戦術”が使えないことです。ランダムなものに関しては交換などの手段も使えますし、毎週変わる特典なども何人かで予定を合わせて分担すれば観に行けない週の特典までカバーできるかもしれません。
さらにこれは孤独以前の問題なのですが、お子様限定の入場者特典が大きなお友だちではもらえないことも重要な痛手です。ひとりで特典付きの親子チケットを買うことはできますが、孤独を貫く私ではお子様向けの入場特典はまずもらえませんし、仮においやめいを“召喚”できたとしてもその子たちから特典を取り上げるだなんて……、さ、さすがにしませんよ!?
大きなお友だちがいる作品に関しては、アダルト限定の上映会があったり、入場特典をグッズとして販売してくれたりということもありますが、まだまだ特典周りのことに関しては孤独の身には辛いところでもあります。
そんな短所もありますが、何にも心乱されることなく全身全霊アニメの世界を堪能できる“孤独のアニメ”は、小さなディスプレーで鑑賞するのとはまた違った没入感を体験できる、ひとり映画館でアニメ鑑賞をすることの醍醐味と呼べる至福のひとときです。
今ではすっかり、誘える人がいないだけだとか、ボッチ参戦だとか、そういった悲観的な印象を吹き飛ばしてくれる、私にとってかかせないアニメ習慣のひとつとなりました。
アニメ作品のバリエーションや期間限定上映の作品も増え、ますます機会も多くなると思いますが、これからも五郎さんやワカコさんを見習って淡々と、しかし心は熱く! 上映マナーを守りながら“孤独のアニメ”を楽しみたいと思います。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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