ベテラン俳優のロバート・デ・ニーロさんと「レ・ミゼラブル」(2012年)で熱演を見せたアン・ハサウェイさん共演の映画「マイ・インターン」が、10日から公開される。監督、脚本はナンシー・マイヤーズさん。「ホリデイ」(06年)や「恋するベーカリー」(09年)といった女性主導の良質コメディーを手掛けてきた彼女が、今回は女性目線ながら男性にも配慮した、愉快で心温まる作品を作り出した。
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ジュールス(ハサウェイさん)が社長を務めるファッションサイトの会社で、福祉事業として40歳以上のシニア世代を雇用することになった。採用された一人が、70歳のベン(デ・ニーロさん)。当初はベンを疎ましく思っていたジュールスだったが、彼の誠実な仕事ぶりと的確なアドバイスを、次第に頼りにするようになる。そんな中、ジュールスに、公私共に問題が持ち上がる……というストーリー。
女性向けの、とりわけアラサー、アラフォー世代の働く女性向けの映画と思いきや、シニア世代からシルバー世代の男性も共感できる作品に仕上がっている。後者の目線を担うのがベンだ。映画序盤に映し出される彼の見事なワードローブ。それによって、彼が引退前に何をしていたのかと興味をかきた立てられる。彼の来歴はおいおい明かされていくが、ともかく、ジュールスの会社の出勤初日。Tシャツにジーンズといったカジュアルな装いの若手社員たちの中、スーツでビシっと決めたベンは完全に浮いている。持ち物も時計、電卓、万年筆と“ひと昔前のビジネスアイテム”で、しかし、ベン世代に親近感を覚える筆者としては、彼が、長年使い慣れた上品な茶色のアタッシェケースからそれらを取り出すのを見たときは、「これよこれ!」と叫びたくなった。雇われた当初は“絶滅危惧種”扱いされていたベンはその後、昔とった杵柄(きねづか)にものをいわせてさくさくと仕事をこなし、若手社員から慕われる存在になっていく。もちろんそれは、ベン自身の人柄のよさに負うところも大きい。もし彼が「昔の俺だったら……」としたり顔をするような男性だったら、この物語は成立しなかったし、映画は別物になっていただろう。そうではなく、出しゃばらず、ジュールスにそれとなくアドバイスし、彼女にやる気と自信を持たせていく。それによって今作は“アン・ハサウェイの映画”となり、また、デ・ニーロさんの存在(彼がとにかくチャーミング!)も引き立つ作品となった。10日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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