「プラダを着た悪魔」(06年)で悪魔のようなファッション誌の編集長を演じたメリル・ストリープさんが、再びデビッド・フランケル監督とタッグを組み、今度は普通のおばちゃんとして夫婦関係に悩む熟年の妻を演じる「31年目の夫婦げんか」が26日に公開された。夫役はトミー・リー・ジョーンズさん。2人の極上の演技が堪能でき、ど真ん中の熟年夫婦などから共感が得られそうだ。
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ケイ(ストリープさん)は夫アーノルド(ジョーンズさん)との関係に悩んでいた。子どもはとっくに巣立ち、寝室は別にしている。ある日、意を決して夫のベッドに入るも拒絶されてしまう。同じ朝食を作り、毎日がくり返しだ。もう一度夫婦としてやり直して、妻として女性として輝きたいと思ったケイは、夫に内緒で夫婦のカウンセリングに申し込む。嫌がる夫を飛行機に乗せ、フェルド医師(スティーブ・カレルさん)を訪ねると、さまざまな課題を与えられる。敏腕なのかペテンなのかよく分からないフェルド医師にアーノルドは激怒する。なかなか協力的になってくれない夫にケイも腹を立てる。2人は課題を乗り越えられるのだろうか……という展開。
心理学者の河合隼雄さんが書いた本を読んでいたら、その中に「男女は協力し合えても理解し合うことは難しい」と題したエッセーがあり、まさに今作のことだと思わずひざを打った。ケイとアーノルドも理解し合っているとは言い難い。「もう一度あなたと結婚したい」という可愛い妻なのに、夫は妻の乙女心を全く理解していないし、夫は良かれと思って妻へ家電をプレゼントしているが……。不満の積み重ねは夫婦がたどってきた年数の証しなのかもしれない。カウンセリングでの会話の中に、妻の孤独、夫婦がたどってきた歴史と重みが描かれ、なかなか生々しいものがあった。タイトルに「けんか」とあるが、ぶつかり合いは“対話”。理解し合えなくても、対話から何かが生まれる。医師役のカレルさんが大まじめにズケズケと性の問題に切り込み、夫婦の反応がいちいち可愛らしかった。26日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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