虐殺器官:新スタジオで製作継続 16年完成目指して再始動

製作が継続されることが決まった「虐殺器官」のビジュアル(C)Project Itoh/GENOCIDAL ORGAN
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製作が継続されることが決まった「虐殺器官」のビジュアル(C)Project Itoh/GENOCIDAL ORGAN

 アニメ制作会社「マングローブ」の経営破綻に伴う製作体制の見直しのため、公開延期が発表されていた劇場版アニメ「虐殺器官」の製作が継続されることが12日、明らかになった。フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」の編集長も務めた山本幸治チーフプロデューサーが新スタジオ「ジェノスタジオ」を設立し、製作を担当する。村瀬修功監督らメインスタッフが続投し、2016年の完成を目指して製作される。公開時期は未定のため、販売していた前売り券については払い戻し対応となる。

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 ジェノスタジオは、「虐殺器官」の英語タイトル「GENOCIDAL ORGAN」から名前をとった新スタジオで、山本さんが代表取締役を務める。山本さんが代表取締役を務める企画プロダクション「ツインエンジン」の100%子会社として設立準備中で、登記後、「虐殺器官」の製作を再開する。製作再開後は、アニメ制作会社のGONZOの創業者・村濱章司さんが執行役員を務める中国の上海絵界文化傳播の子会社で、10月に日本で設立された絵梦との協業を予定している。

 村瀬監督は「誰も予想できない事態が起こってしまいましたが、こうして製作継続が決まったのは、(原作者の)伊藤計劃(けいかく)さんが与えてくれた好機のようにも考えることができます。山本チーフプロデューサーが立ち上げてくださったジェノスタジオには、主要スタッフも再び集まってくれています。皆さんの期待に応え、よい作品を作るため、スタッフ一同製作にまい進する所存です」とコメントを寄せている。

 山本さんは「マングローブの経営破綻により、製作継続が危ぶまれましたが、何とか製作再開にこぎつけることができました。お客さんの期待を裏切らずに済んだことが何よりです。その責任を果たしたいという意思を示してくれたフジテレビをはじめ製作委員会各社に感謝いたします。一方で、今回のマングローブの問題は業界全体の問題であり、他人ごとではないと感じています。『虐殺器官』をきっかけに生まれたスタジオが、業界を変えていく最前線になればと思っています」と話している。

 「虐殺器官」は、2009年に34歳で亡くなったSF作家の伊藤計劃さんのSF小説が原作。伊藤さんの作品をアニメ化するプロジェクト「Project Itoh」の一環でアニメ化される。同プロジェクトでは「屍者の帝国」が10月2日に公開された。「虐殺器官」が13日、「ハーモニー」が12月4日を予定していたが、「虐殺器官」の公開延期を受けて、「ハーモニー」が13日に公開されることになった。

 「虐殺器官」は米国軍で暗殺任務を行う精鋭部隊・特殊検索群i分遣隊に属するエリート、クラヴィス・シェパード大尉が“虐殺の王”とも呼ばれるジョン・ポールの秘密を探る中、人を狂わす“虐殺器官”の存在を知る……というストーリー。

 マングローブは2002年に設立。アニメ「サムライチャンプルー」「神のみぞ知るセカイ」「ギャングスタ」などを送り出したことで知られる。9月29日までに営業を停止し、11月4日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。 民間の信用調査会社の帝国データバンクによると約5億4400万円。

 ◇新スタジオの詳細

 スタジオ名:株式会社ジェノスタジオ▽会社登記:現在登記中▽株主構成:株式会社ツインエンジン▽代表取締役:山本幸治▽制作担当取締役:米内則智▽管理担当取締役:宇田英男

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