俳優の西田敏行さん主演で人気を博したテレビドラマ「池中玄太80キロ」シリーズなどを手がけた石橋冠監督が17日、名古屋市内で行われた自身初の映画監督作「人生の約束」(2016年1月9日公開)の会見に出席。「映画はこの一本のつもり」と公言しており、「僕はテレビ人。両方の脚がテレビの上に乗っているので、(今回は)映画に“浮気”した気分」と心境を語り、「次はこの映画(を作る)なんてずうずうしくて言えないというのが本音。映画は大好きだし、1本撮りたいなと少年のように思っていた。撮れてよかった」とほほ笑んだ。
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石橋監督は1936年生まれ。札幌市出身。1960年に日本テレビに入社し、「冬物語」「池中玄太80キロ」などを演出した後、96年に退社。「ラブ・レター」で2003年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞し、07年に「松本清張 点と線」、10年に「なぜ君は絶望と闘えたのか」で文化庁芸術祭大賞を受賞した。11年に旭日小綬章を受章している。
石橋監督はテレビドラマについて「分かりやすいことが鉄則。脚本も分かりやすさが第1にくる。僕はそれがいやではないけれど人間の豊かさ、人間の心の機微(の表現)は、やりづらいことが多い。だからつい、説明的なせりふを増やして言わざるを得ない局面がある」と説明。対して映画は「俳優の顔を見ていれば、せりふなんかいらないという(作り方)もできる。大きな画面の中で語れることがあって、それは正直、うらやましい」と語った。
一方で映画には「面白く見てくれるだろうか。映画館に入ってくれるだろうか」と心配があることを口にし、「映画館に行ったら(お客さんが)2人しかいなかったという夢も見た。怖いなと思います」と明かした。
「人生の約束」は、富山県射水(いみず)市の「新湊曳山(ひきやま)まつり」を舞台に、竹野内豊さん演じるすべてを失ったIT関連企業CEO・中原祐馬の再生を描く物語。祐馬に敵対心を抱きながら徐々に打ち解けていく新湊の漁師役で江口洋介さんが出演。西田敏行さんやビートたけしさんも出演する。
石橋監督は「日本海と立山(連峰)の風景が物語をくれた。曳山を撮りたかった」と同作の出発点を語り、初タッグとなる竹野内さんについて「主役は彼でありたいと思っていたので真っ先に交渉した。出演していただくことになってから物語が膨らんだ」とコメント。会見にともに出席した竹野内さんを「たけちゃん」と親愛の情を込めて呼び、「彼の存在は大発見でした。日本のドラマに欠けていた部分を全部持っていることが撮りながら分かった。感性が豊かだし、悪役から少年までをやってくれる表情を持っている。すばらしい俳優」と絶賛。「ドラマを作るのは“まじめな遊び”。それを分かってくれる俳優たちと仕事をしているつもり。たけちゃんも分かってくれた」とうれしそうに語っていた。
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