高木渉:「真田丸」小山田茂誠役で話題 検索ワード急上昇の“異色声優”の素顔

NHK大河ドラマ「真田丸」に小山田茂誠役で出演している高木渉さん
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NHK大河ドラマ「真田丸」に小山田茂誠役で出演している高木渉さん

 10日にスタートした堺雅人さんが主演を務める2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」に、小山田茂誠役で出演している声優の高木渉さん(49)が話題だ。テレビアニメ「機動新世紀ガンダムX」の主人公ガロード・ラン役をはじめ、数々のアニメ作品に参加してきた高木さんだが、俳優としてドラマに出演するのは今回が初めて。そうそうたる顔ぶれがそろうキャストの中で、その人懐っこい笑顔と人間味あふれる演技で異彩を放つと、第1話放送後には「高木渉」の名前がインターネットやSNSの検索ワードとして急上昇。「真田丸」公式サイトの登場人物紹介ではクリック数が1位になるなどした。思わぬ反響に「とにかくびっくりしています」と驚く高木さんに、話を聞いた。

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 ◇検索ワードで一時期「高木渉」が2位に?

 「真田丸」は、戦国時代に信州の小さな領主のもとに生まれた真田信繁が、家族とともに知恵と勇気と努力で乱世をサバイバルする姿が描かれる。三谷幸喜さんが脚本を手がけ、信繁の兄・信幸(信之)を大泉洋さん、信繁と信幸の父・昌幸を草刈正雄さんが演じるほか、長澤まさみさんや高畑淳子さん、草笛光子さんらが真田家の人々として登場する。

 高木さんが演じる小山田茂誠は、信繁の姉・松(木村佳乃さん)の夫で、松を深く愛し、その憎めない人柄で真田家をもり立てていくという役どころだ。第1話「船出」では、松との仲むつまじい姿でお茶の間を和ませる一方、終盤には主の小山田信茂(温水洋一さん)の突然の“寝返り”にあらがえず、むせび泣くかのように武田家の当主・勝頼(平岳大さん)を追い払うシーンが見る人の心を打った。

 これまで舞台経験はあるものの映像で自分の演技を見ることのなかったという高木さんは「こっぱずかしいですよね。皆さんが本当に評価してくれるんですけれど、自分じゃあ、硬くて見ちゃいられない。早く慣れたいんですけれど……」と照れ笑いを浮かべる。

 名前が検索ワードで急上昇したことについては「とにかくびっくりしましたね」と驚いた様子で、「『真田丸』のホームページが開設されて、僕の顔写真が出た時も、(ページビューが)グッと上がったらしんですけれど。今度は第1話が放送されると(検索ワードランキングの)1位が『真田丸』、2位が『高木渉』、4位が『勝頼』で。今回のドラマがいかに注目されているか改めて感じましたし、うれしかったですね」と劇中と変わらぬ人懐っこい笑顔を見せる。

 ◇「真田丸」の“秘密兵器”との声も

 改めて出演依頼を受けた時のことを「とにかく耳を疑った」と振り返る高木さん。「今年で50歳になるんですけど、声優としてはベテランと呼ばれるような年齢になってきて、主人公の周りを固めるような安定した役柄をやらせていただくことが多くなってきた中、こうやって映像の世界に挑戦させてもらえるというのは、またとないチャンスだなって思った」といい、「この年になって新しいことを経験させてもらって、こんなありがたいことはない」と感謝の気持ちを隠さない。

 一方で出演が決まってからは「足が地についていませんでした」という高木さんは、「大河ドラマというのは、俳優さんたちが何年もかかってやっとキャスティングされるような作品。『僕なんかが』と思いましたし、いつ(出演が)なくなってしまうのか分からないから、ドキドキしながら発表を待っていました」と率直な心情を吐露。さらに「最初の発表の時も名前がなくて、次の発表の時も名前がなくて、本当に直前でなくなっちゃうんじゃないかって思って。そうしたら迫田(孝也)君から『僕たちは秘密兵器ですよ』ってメールが来て。僕は僕で『秘密のままで終わらなければいいけどね』って返したんですけど(笑い)。だから出演することは誰にも言えませんでした」とも明かした。

 出演が決まってからは、「いよいよ来たなっていう感じで、浮かれてはいられないぞって、身が引き締まる思いでしたね」と気合を入れ直したという高木さんだが、実は歴史には疎いといい、「昔ですが、舞台で『新選組』をやった時も、新選組って名前は知ってるけど何?って感じだった」と苦笑い。当然、茂誠のことも「存じ上げていなかった」といい「そこから徐々に調べるようになって、そうしたら歴史が面白くなってしまった。いままで俺は何て損してきたんだ」とも思ったというが、「茂誠はまだ、信繁のようにみんなに広く知られているキャラクターではないので、ここから自分がしっかり作っていかなきゃなと思っています」とあくまで前向きだ。

 ◇三谷幸喜が求めたのは「人のよさ」

 そんな高木さんに、これまでの仕事との違いを聞くと「声優の仕事は、ある程度作品が出来上がってきてから、順録(と)りで声を入れていく。洋画の吹き替えに至ってはSEや音楽まで入っていて、2時間くらいの作品でも1日でアフレコを終えてしまう。そういう意味では映像の世界は全然違う」との答えが。続けて「ドラマでは、話数をまたいでシーンも前後入り乱れて撮影していくし、台本1ページを1時間かけて撮ることもある。本番に臨む俳優の集中力の違いもあるし、スタッフさんも目の前で大忙しに動き回ってて、そこに吹き替えのスタジオとの“ギャップ”はありますよね」と実感。

 また三谷さんからは「高木さんの人のよさそうな感じが出ればいいので、硬くならずにやってください」といわれたといい、高木さんは「『名将ではない』ともいわれてはいるので(笑い)、人間らしく、僕らしくやればいいのかなって」と楽しそうな笑顔。さらに「僕と松(木村さん)がいると、なんともいえないほのぼのとした空気が生まれて、真田家が東軍西軍に分かれて戦うことになっても、いつも信繁を心配し真田家をつないでいるという役割でもあるので、そういう家族愛を表現できたらなって」と語っていた。

 第1話でも印象的だった茂誠と松との夫婦仲だが、木村さんから事前に「今までにないような楽しい、あったかい空気が出せるような夫婦を作っていきましょう」と声を掛けてもらったといい、「撮影以外でも明るく気さくに話しかけてくれるので『ほのぼのしてるね』って言われるのは、佳乃さんのリードのお陰だと思っています」と謙遜すると、「これからも松との仲は大事にしていきたいし、“姉さん女房”ではあるんですけど、早くね、僕が引っ張っていけるようになればいいなって思っています」と男らしい一面をのぞかせていた。

 「真田丸」はNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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