注目映画紹介:「傷物語<2熱血篇>」吸血鬼になった主人公が人間に戻るための過酷な戦いへ

「傷物語<2熱血篇>」のワンシーン (C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
1 / 9
「傷物語<2熱血篇>」のワンシーン (C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

 西尾維新さんの小説「<物語>シリーズ」を基にした劇場版アニメ最新作「傷物語<2熱血篇>」(新房昭之総監督、尾石達也監督)が19日に公開される。「傷物語」はシリーズ第1作「化物語」の前日譚(たん)にあたり、劇場版アニメは「鉄血篇」「熱血篇」「冷血篇」の3部作で構成。第2弾となる今作では、高校生の阿良々木暦(あららぎ・こよみ)が、吸血鬼のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会ったことで吸血鬼になってしまい、人間に戻るため奮闘する姿を描く。暦と激戦を展開する吸血鬼ハンター役として、声優の入野自由さん、江原正士さん、大塚芳忠さんが新たに加わった。

あなたにオススメ

 吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(声・坂本真綾さん)と出会った阿良々木暦(声:神谷浩史さん)は、四肢を奪われ瀕死の状態だったキスショットを助けるが、自身も吸血鬼になってしまう。人間に戻るためにはキスショットの四肢を取り戻すことが必要で、怪異の専門家・忍野メメ(声・櫻井孝宏さん)のアドバイスを受け、暦は過酷な戦いに身を投じる。そんな暦の前に、吸血鬼を狩る吸血鬼・ドラマツルギー(声・江原さん)、巨大な十字架を操る半吸血鬼(バンパイア・ハーフ)のエピソード(声・入野さん)、吸血鬼退治の専門家ギロチンカッター(声・大塚さん)が立ちはだかり……というストーリー。

 第1弾「鉄血篇」では暦が吸血鬼になった経緯が描かれていたが、今回からは人間に戻るための戦いへと転換し、ドラマツルギー、エピソード、ギロチンカッターとのバトルを中心に展開していく。原作ファンであれば結果は知っているとは思うが、そういった状況で見ても今回の三つのバトルは暦の苦戦ぶりにハラハラさせられ、手に汗握る展開で楽しませてくれる。そんな熱量全開のバトルだけでなく、羽川翼(声・堀江由衣さん)との高校生らしい青春シーンもあり、羽川のキュートさに思わずメロメロになってしまうはずだ。アクションと青春という振り幅の大きいシーンの対比が面白く、動きや表情、背景に至るまで丁寧に描き込まれた作画が、物語をいやが応でも盛り上げてくれる。映像作品としてのクオリティーの高さには、とにかく驚かされた。19日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

写真を見る全 9 枚

アニメ 最新記事