米俳優マット・デイモンさん主演の映画「ジェイソン・ボーン」(ポール・グリーングラス監督)が7日に公開される。「ボーン・アイデンティティ」(2002年)、「ボーン・スプレマシー」(04年)、「ボーン・アルティメイタム」(07年)の3部作で完結したシリーズが、約10年ぶりに復活。トミー・リー・ジョーンズさんがCIA長官に扮(ふん)するほか、「リリーのすべて」(15年)で米アカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ビキャンデルさん、仏俳優バンサン・カッセルさんらが出演。オリジナルメンバーのジュリア・スタイルズさんも姿を見せる。
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CIAの極秘プログラム「トレッドストーン計画」を暴き、CIAの監視網から姿を消していたボーンの前に、元同僚のニッキー・パーソンズ(スタイルズさん)が現れる。彼女は、CIAのサーバーをハッキングし、入手したある機密情報を持っており、そこにはトレッドストーン計画に、今は亡きボーンの父親が関わっていたことが記されていた。ハッキングに気付いたCIA長官デューイ(ジョーンズさん)は、ニッキーがボーンと接触を図るとにらみ、2人の元に殺し屋(カッセルさん)を差し向ける。一方、女性エージェントのヘザー・リー(ビキャンデルさん)は、ボーンをCIAに引き戻そうと、彼との接触を試みる……というストーリー。
前作で、自分の本名がデビッド・ウエッブであり、自ら志願してCIAの暗殺者になったことを突き止めたボーンだったが、今作では、なぜ彼がその道を選んだのかという新たなミステリーが浮上する。その謎が、ボーンの父の存在とともに描かれていく。とはいえ、新たなシリーズの導入部という位置づけなのか、今作のストーリーに前3作ほどの複雑さはなく、むしろ、アクションシーンに見どころの比重が置かれている。ニッキーが極秘ファイルを盗み出す冒頭から、アテネでボーンとニッキーが暴動をかいくぐりバイクを疾走させるシーン、さらにラスベガスのクライマックスに至るまで、緊張感を緩ませることなく見せ切るグリーングラス監督の演出とバリー・アクロイドさんのカメラワークはさすがだ。とりわけ、何台もの車がクラッシュし、取り壊しが決定していたホテルまでもぶち壊してしまうラスベガスのハイライトシーンは壮絶で、お陰で、見終わったときはかなりの疲労感に見舞われた。前作までを見た上での鑑賞をおすすめするが、今作から見ても十分楽しめるはずだ。7日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(1978年)と「恋におちて」(84年)。
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