「桐島、部活やめるってよ」の原作者として知られる朝井リョウさんの直木賞受賞作(新潮文庫)を、映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(2009年)や「愛の渦」(13年)などで高い評価を得た演劇界の鬼才・三浦大輔監督が映画化した「何者」が15日に公開される。就職活動を通して自分が「何者」かを模索する大学生たちを、佐藤健さん、菅田将暉さん、有村架純さん、二階堂ふみさん、岡田将生さん、山田孝之さんという今をときめく旬な俳優がそろい踏みで演じている。
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メインの登場人物となる5人は、主人公の冷静分析系男子・拓人を佐藤さん、拓人のルームメイトの天真爛漫(らんまん)系男子・光太郎を菅田さん、拓人に恋心を抱く地道素直系女子・瑞月を有村さん、偶然にも拓人の部屋の上の階に住んでいた意識高い系女子・理香を二階堂さん、理香と同居中の空想クリエーター系男子・隆良を岡田さん。そして拓人のサークルの先輩で達観先輩系男子・サワ先輩を山田さんが演じている。
演劇サークルで脚本を書き、他人を心の中で分析する癖がある拓人は、同じ大学の真面目な瑞月にほのかに思いを寄せていた。だが瑞月は光太郎の元カノで、まだ光太郎への思いを断ち切れていない。何も考えていないような天真らんまんに見えて、ある思いを胸に就職活動を続け着実に内定に近づいていく光太郎。瑞月の友だちで拓人の部屋の上の階に住んでいる「意識高い系」だが就活ではなかなか結果が出ない理香、理香と同居しており、「就活は決められたルールに乗るだけだ」とクリエーター的な強がりを言いながらも焦りを隠せない隆良。拓人のことを冷静に見ているサワ先輩。大学に通う5人と先輩1人は、それぞれの悩みや思いをSNSにつづり、いつの間にか人間関係が変化していく……というストーリー。
ストレートなラブストーリーでも青春映画でもない。物語はSNSの会話のように進み、場面転換は舞台公演のように進行する。これは、ある時期にみな通らなくてはならない試練でもあり、一瞬のお祭りのようでもある“就活”というものを、リアリティーとフィクションをないまぜにしたような映像でファンタジックに表現したのではないかと推測している。5人の気持ちはくっついたり、行き違ったりしながら思わぬ方向に進んでいく。最後に一番冷静に周りを見ていたと思っていた拓人がたどり着いた現実とは? 原作ファンは特徴のある映像を楽しめるだろうし、原作を読んでいない人は先の見えない展開にドキドキすることだろう。15日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(細田尚子/MANTAN)
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