ラグビー・山田章仁選手:W杯と東京五輪「どっちも出たい」

サンウルブズの山田章仁選手
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サンウルブズの山田章仁選手

 現在の日本ラグビーのトップランナーの1人である、山田章仁選手。昨年ワールドカップデビューを飾り、今年のスーパーラグビーでは、不振のサンウルブズにあってトライを量産し、1次リーグ終了時点ではトライランク1位に立つなど、世界トップレベルのフィニッシャーに仲間入りした。五郎丸歩選手とは福岡のラグビースクールに通っていた小学生時代からのライバルだ。山田選手に、五郎丸選手と、五郎丸選手が挑んでいるラグビーフランスリーグ「トップ14」について話を聞いた。

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 --山田選手は、フランスリーグ「トップ14」についてどのような印象をお持ちですか

 そうですね、スーパーラグビーよりもコンタクトが激しい。世界中のスター選手がそろっている。見応えがあるリーグだなと思っています。

 --日本ではスーパーラグビーなど南半球の情報は多く入ってきますが、フランスの情報はあまり入ってきません。「トップ14」の特徴はどんなところにあると思いますか

 FWは特に激しさがあって、バックス(BK)は1人で走りきれる選手や、いろいろな技を持っている選手が多い。やはり、いろいろな国の選手が集まっている分、みんなが自分の国のスタ」イルを出して、個人の個性がミックスされて出ている、面白いリーグだなという印象があります。

 --山田選手は、日本代表の欧州遠征でフレンチ・バーバリアンズなどと対戦した経験があるそうですが、フランスのチームと対戦するのはどういう感覚ですか

 BKとしては、ボールを外へ振って、また外へ振って……という勝負をしていたイメージがありますね。先ほども言いましたが、いろんな国の選手が集まっている分、『これがフランスらしさだ』という型がありそうでないような、個々がそれぞれの色を出してプレーしていた印象があります。

 --小さい頃から海外志向が強かったと伺いましたが、昔から外国の試合を見るのは好きだったのですか

 そうですね。僕は小さい頃から海外への興味が強くて「外国に出て行きたい」「グローバルな人間になりたい」と思っていました。だから、テレビでいろいろな国のラグビーの試合を見ても、ラグビーだけじゃなく、その国の風景とか文化とか国民性とかを、ラグビーを通してみることが楽しかった。自分が旅行に行ったような気分になれて、好きでしたね。

 --山田選手は2015年にワールドカップに出場し、16年のサンウルブズで活動したあと、五輪を目指してセブンズに活動の軸を移しました。7人制と15人制、それぞれの魅力を教えてもらえますか

 セブンズは、その名の通り7人で戦う競技なので、1人1人がパフォーマンスするスペースが広くて、時間もある。力量を出すチャンスはありますよね。そのスリリングな要素を楽しめる競技だなと思います。反対に15人制ラグビーは、団体スポーツの中でも1チームの人数が一番多い競技なので、チーム一丸で戦う、団結力で勝負するのが特徴です。その分、チームで何かを達成したときの達成感は大きいんじゃないか、と。そこに魅力を感じますね。僕は去年のワールドカップのあと、15人制代表を離れてた分、去年のワールドカップを戦った仲間とまた一緒にラグビーができること、新しい仲間と一緒にラグビーをできることに喜びを感じています。

 --去年のワールドカップを一緒に戦った五郎丸選手が、今年、フランスリーグトップ14のRCトゥーロンに挑戦しています

 はい。このニュースを聞いたときは、僕も非常にワクワクしました。僕自身のことじゃないけれど、自分のことのようにうれしかった。年も一緒だし、ワールドカップも一緒に戦った仲間ですからね。

 --山田選手と五郎丸選手は同い年で、福岡の小学生時代からずっとライバルとして戦ってきましたね

 いやいや、ライバルだなんて、僕は足元にも及ばないですよ(笑い)。ゴロー(五郎丸選手)は高校のときも大学でも、僕らの学年を引っ張ってきましたから、ライバルというようには認識していません。彼が日本ラグビーを引っ張ってきた姿はずっと近くで見てきて、すごく頼もしかったし、それをそのまま世界の舞台でも発揮してほしいなと思いますね。彼の武器であるロングキック、代名詞であるゴールキックは、世界でもトップクラスだと思うし、その強みを十二分に発揮してほしいです。

 --山田選手もフランスでプレーしたいですか?

 行ってみたいですね。フランスに限らず、新しい環境にチャレンジすることは素晴らしいことですし、もちろんフランス自体もとても魅力的ですし。

 --山田選手はオーストラリアのパースに本拠地を置くウェスタン・フォースでプレーした経験がありますが、海外でプレーすることの魅力はなんでしょう

 海外に行くことで、一回りも二回りも成長させてくれるのは間違いないです。1人でなんでもしなければいけないし、人間的に成長できるのはもちろんですが、プロ選手として行くことで、より自分自身に責任も出て、ラグビー選手としても成長できると思います。それに、海外ではラグビーの人気も高いです。やはりアスリートにとって、お客さんの熱を感じられるのが一番の幸せだと思いますからね。

 --次回の19年ワールドカップは意識していますか。

 いやあ、まだ先過ぎて、僕の中ではまだ明確なターゲットにはなっていません。1年1年、自分がラグビー選手として成長できるように頑張っていって、19年のときに、自分が選ばれるような状態になっていれば、そのときは全力を尽くしたいです。もちろん、20年東京オリンピックのセブンズについても同じです。正直に言うと、どっちも出たいですからね(笑い)

◇プロフィル

 やまだ・あきひと 1985年7月26日生まれ。福岡県北九州市出身。ポジションはウイング。5歳のときに鞘ヶ谷ラグビースクールでラグビーを始め、小倉高、慶応義塾大を経てHONDA HEAT(ホンダヒート)に所属。2シーズンプレーした後、2010年から三洋電機ワイルドナイツ(11年からパナソニックワイルドナイツ)でプレー。12年度にはトップリーグ新記録となるシーズン20トライを挙げてトライ王に輝く。15年はスーパーラグビーのウェスタン・フォースでプレー、16年はスーパーラグビーのサンウルブズでプレーしている。日本代表としては13年のロシア戦でデビュー。15年のワールドカップでは、サモア戦でワールドカップ初トライを記録した。身長182cm、体重88kg。

*……WOWOWでは、フランスのプロラグビーリーグ「トップ14」を、五郎丸選手が所属する「RCトゥーロン」の試合を中心に年間57試合放送予定。第13節の「ラ・ロシェルvsラシン92」はWOWOWプライムで12月4日午前4時30分から生中継。また「RCトゥーロンvsボルドー・べグル」は同4日深夜2時20分からWOWOWライブで放送する。

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