注目映画紹介:「ハクソー・リッジ」実話に基づくメル・ギブソン監督作 戦場の凄惨さに言葉失う

「ハクソー・リッジ」のワンシーン (C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
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「ハクソー・リッジ」のワンシーン (C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

 俳優のメル・ギブソンさんが、10年ぶりにメガホンをとった「ハクソー・リッジ」が24日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほかで公開される。1945年、沖縄・前田高地での米軍と日本軍の激戦を、実話に基づき描いた戦争映画。日本軍の激しい攻撃によって米軍が撤退に追い込まれる中、戦場に残った主人公デズモンド・ドスが、仲間を救出しようと奮闘するハイライトシーンの凄惨(せいさん)さに言葉を失った。

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 幼いころの苦い経験から、「汝、殺すなかれ」という教えを胸に生きてきたデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールドさん)は、戦争が激化する中、「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍を志願する。訓練中、断固として銃を持とうとしないデズモンドは軍法会議にまでかけられるが、紆余(うよ)曲折の末、主張が認められる。45年4月、デズモンドは沖縄の「ハクソー・リッジ」での戦闘に加わり、想像を絶する体験をする……というストーリー。

 モデルとなったデズモンドさんの生い立ちをひもときながら、やがてハクソー・リッジの戦いになだれ込んでいく。捨て身の攻撃に出る日本兵と、次々と倒れていく米軍兵。目を覆いたくなるような惨状がしばし繰り広げられる。まさに阿鼻叫喚の世界だ。その中を、まるで呪文のように「もう1人助けさせて」と唱えながら走り回るデズモンドを見ながら息苦しさを覚え、戦争のむごさを呪った。米軍の反撃に遭う日本兵の姿に複雑な心境になり、「人を殺すためでなく、生かすために戦地に行く」というデズモンドの考え方に深く共感した。

 恋人ドロシー役にテリーサ・パーマーさん、上官グローバー大尉役にサム・ワーシントンさん。作品は第89回米アカデミー賞で編集賞、録音賞を受賞した。ハクソーは「のこぎり」、リッジは「崖」の意。前田高地にある高さ約150メートルの崖がのこぎり状であることから、米軍がそう呼んでいたという。(りんたいこ/フリーライター)

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