M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
WOWOWは「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。7月30日午後9時からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW 少年たちが“リトル・ダンサー”になる瞬間~日本版 ミュージカル『ビリー・エリオット』~」の番組プロデューサーを務めるWOWOW制作部の浦田健司プロデューサーに、番組の魅力を聞いた。
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――番組の概要と魅力は?
映画「リトル・ダンサー」(2000年、スティーブン・ダルドリー監督)というタイトルを聞けば、知っている方も多いのかと思いますが、同作を舞台化したミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」が日本人キャストで今年初めて上演されています。日本中の子供たちの中から主役の少年ビリー役を決めるオーディションが行われ、そこで選ばれた10~15歳の5人の少年たちが舞台に立つまでの600日を番組では追っています。
演劇は特異な状況下の人間が描かれるといわれますが、この作品は本当に力強い劇です。
1980年代の英国、不況にあえぐ炭坑の町でバレエダンサーを夢みる少年ビリーは、危機に直面してもひるまずに前へ進みます。世の不公平に声を上げるなんてそうできることではありませんが、11歳の少年ビリーが持つ揺るぎない意思は本当に美しく、感動的です。そんな偉大な役に挑んだ日本の5人の少年たちは1年半にわたる厳しいレッスン、周囲の期待とプレッシャー、そして自分との葛藤、それらすべてを胸に秘め、ビリーという役に迫ります。まだあどけなさが残る少年たちの決意と情熱の日々を記録しました。
――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?
「ミュージカルの歴史の中でビリーは子役であっても、非情に難しい役」と海外の演出家が番組でも言っていますが、現代の日本に住む少年が、あんなにも人々が激しく衝突し合う激動の時代に生きるビリーを本当に演じ切れるのか? そして、オーディションを勝ち抜いた少年たちが一体どのような変化を体験するのか、もしかしたら彼らの人生がガラリと変わる瞬間を見られるかもしれないという思いを持ち、取材に入りました。ミュージカルのオープニングは英国史上空前の大ストライキが起こる中、炭鉱夫たちが果敢に体制へ立ち向かっていく“戦いの歌”から始まります。それを見て、さあ、これは大変だぞ!(笑い) 若い彼らがどこまでリアリティーを感じるのか?と感じました。
――制作中、一番に心がけたことは?
ビリー役の条件は、年齢が10歳前後、身長は147センチ以下、そして声変わりする前の少年であること。自分の少年時代を思うと、この年齢の子たちはきっと傷つきやすい存在だろうと思い、取材をスタートさせたのですが、心配をよそに合格した5人はパワー全開。ビリー同様に勝ち気でタフな“プロの役者”でした。だてに1346人の中から選ばれていないですよね。
――番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?
舞台は映像作品と過程が異なり、公演初日まで数カ月にわたる稽古(けいこ)期間があります。俳優たちが変化を起こす稽古場は私たちにとって、いつも謎めいた存在です。本来は決して見ることが許されない稽古場の取材は毎回新鮮で、今回も取材中に何度か素晴らしい瞬間に立ち会えました。ビリー役の1人の少年が、物語の重要な場面で演じる1シーンの芝居で、驚くべき変化を見せた瞬間の興奮を今でも覚えています。
――番組の見どころを教えてください。
本作はさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まっていました。舞台経験豊富な大人キャストたち、勢いある若手俳優、優れたダンサー、海外クリエーティブチーム、日本人スタッフ。年齢も性別も、それぞれが歩んできた経歴も、そして、言語すら異なる人たちが一堂に会し、モノ作りをする。それは大変な現場なのだと思いますが、一人一人が持つ芝居への情熱が空間を一つにしているように見えました。稽古場では舞台経験の浅いビリー役の少年たちは、何度も問題にぶつかっては解決するまでに時間がかかっていましたが、周囲の人たちが、少年たちの背中をしっかりと押していく姿には、本当に心を打たれ、いかにも演劇の現場だなと共感していただけると思います。
――視聴者へ一言お願いします。
日本人キャストで実現したミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」は現在、東京で公演中です。番組で密着した少年たちは今日も、明日も1000人を超える観客を前にビリーを演じます。作品はトニー賞10部門受賞含め、全世界で80以上の演劇賞を受賞した作品。音楽を手がけるのはエルトン・ジョンです。名実ともに文句無しの今年最大の注目作です。ぜひ、劇場で彼らの姿を見ていただければと思います。
WOWOW 制作部 プロデューサー 浦田健司
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