テレビ質問状:「ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う ~万作・萬斎・裕基、未来へ」狂言師三代のパリ公演を追う

「ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う ~万作・萬斎・裕基、未来へ」のビジュアル
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「ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う ~万作・萬斎・裕基、未来へ」のビジュアル

 WOWOWは「WOWOWオリジナルドキュメンタリー」枠として、「ノンフィクションW」と「国際共同制作プロジェクト」の2番組を両輪に、国内外のさまざまなテーマを扱ったオリジナルのドキュメンタリー番組を放送している。11日午後6時半からWOWOWプライムで放送される「ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う ~万作・萬斎・裕基、未来へ」の番組プロデューサーを務めた制作部の長野公美プロデューサーに、番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 ――番組の概要と魅力は?

 狂言師・野村萬斎といえば、東京2020大会開会式・閉会式のチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブディレクター(東京2020総合)として注目されています。

 そんな大注目の萬斎さんですが、年間300も数える狂言の公演で忙しい毎日を送っており、今回は親子三代でフランス・パリでの「三番叟(さんばそう)」の公演に挑みました。三人三様の舞ですが、まさしく、三代を見比べていただけるような、贅沢なものに仕上がりました。

 ――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 「三番叟(さんばそう)」というのは、250を超える狂言の演目の中で最も古いものの一つで、お祝いの場で披露されることが多い舞です。日仏友好160年を記念し、フランス・パリを中心に行われているたジャポニスム2018という“世界にまだ知られていない日本文化の魅力”を紹介する大規模な複合型文化芸術イベント日本文化の祭典で披露されたのですが、なにより、三代が同じ演目を日替わりで公演するというのはなかなか見られないものでもあります。その中で、野村家の芸のDNAというのがどう受け継がれてきたか、これからどう伝承されていくのかがまさしく体感できればと思い、制作に至りました。

 ――制作中、一番に心がけたことは?

 日本が誇る伝統芸能ですが、身近なエンターテインメントとして捉えにくいというのが現状かと思います。敷居が高いと感じたり、狂言を見たことがないという人は多いと思います。それを取っ払っていただき、野村家三代、万作先生、萬斎さん、裕基さんそれぞれ、一人の役者として注目していただきたいと思います。舞台にかける思い、芸を伝承していく思い、それを祖父・父・子と家族でつなげていく思い、そういった人間ドラマを引き出せればと心がけました。

 ――番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 パリ市内でのドキュメンタリー撮影というのが割と寛容で、私たち制作側にとってはありがたいことでした。行く先々で、道路の使用許可を取らなくていいわけですから(笑い)。けれども、野村家の三代の皆さんが、休演日にシャンゼリゼ通りにお出かけされるということで同行させていただいたのですが、その日のお天気が雨予報で。折角三代そろってのお出かけだったので、雨が降らないように祈るばかりでした。そうしたら取材中はなんとかお天気も持ったのですが、いざ皆さんと離れると、雨が降り出して。しかも、かなりのどしゃ降りで。機材を持ったままでしたので、スタッフ全員、あわてて避難しました(笑い)。

 ――番組の見どころを教えてください。

 日本でも滅多に見ることのできない、三代が日替わりで披露するパリの「三番叟」。それを見比べていただけるというのが一番の見どころです。海外公演にはなかなか出向けないということもありますし、パリのお客様にはどう響いたのか、というところも体感していただけます。野村家三代の皆さまがパリで「三番叟」に挑戦し、伝統をどのように「未来」へつなげていくかにも注目です。

 ――視聴者へ一言お願いします。

 WOWOWでは「特集:野村萬斎の世界」と題して、このドキュメンタリーだけでなく、萬斎さんの主演映画や、狂言、舞台など8作品を、2週にわたって18時間も放送いたします。萬斎さんがいかに多岐に渡って活動されているかが分かると同時に、本業である狂言がテレビでもお楽しみいただけるという貴重な機会です。先の第31回東京国際映画祭で特別上映された今回のドキュメンタリーですが、お客さまから“狂言が見たくなった”という声もいただき、今回の特集はまさにぴったりだと思います! 18時間という長い時間ですが、録画機器の準備もしっかりしていただき、2週にわたって楽しんでいただけるとうれしいです。

 WOWOW 制作部 プロデューサー 長野公美

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