青木志貴の魔王式随想:新しい部屋と猫と私

青木志貴さん
1 / 11
青木志貴さん

 人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる新人声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。

あなたにオススメ

 ◇

 2017年ももうすぐ終わりですね。本当に一年というのはあっという間に過ぎてしまうんだなあと感じています。皆さんは2017年が始まるとき、何か今年の目標や抱負がありましたでしょうか? ボクはこのコラムでも書いていたとおり、2017年の目標は「友達をつくる」でした(笑い)。結果としては、ボクなんかが友達と呼ばせていただいていいのかわかりませんが、仕事以外のプライベートの場でも一緒にご飯へ行ったり、飲みに行ったり、遊びに行ったりしてくださる方が増えました! これはボク的にはとても大きな一歩で、目標を達成したと言ってもいいような気がしています。皆さんは2017年の目標、達成できましたか?

 そんなボクですが、つい最近、お引っ越しをしたのです。前の家に住んで6年以上がたちました。最初は1人暮らしだったのが愛猫の「ゆん」をお迎えして2人暮らしになり、その3年後には2匹目の愛猫「どらごん」が我が家に転がり込んできて3人暮らしになり…。1Kのおうちで3人暮らしはちと狭い。キャットタワーも2匹のために大きいものを購入したし、猫トイレも2匹分となると場所をとります。

 そして何よりボクは服が好き。ゲームが好き。小さなクローゼットには収まりきるはずもない量の衣服は廊下で積み重なっていたし。ゲーム好きで何年かに1度は良いスペックのゲーミングPCを新調。もちろん前のPCも使えるので捨てるわけでもない。となると、衣服やパソコン、モニター、周辺機器がどんどんたまっていくのです。

 チャンスがあれば広いお家に引っ越したいなあ、そしたら猫たちものびのび走り回れるし、お洋服は廊下に積み重ねなくてもいい。なんてことを日々考えてはいたのですが……。現実的に考えて「引っ越し」とはとても面倒なもので。1人暮らしの場合、荷物こそ少ないものの、いろいろな手続きや準備で慌ただしくなってしまうものです。ボクは高校1年から親元を離れてひとりで東京に出てきたせいもあって、他の人よりは1人暮らし歴も長いだろうし、引っ越しも何度か経験しています。現在の家で4度目?だと思いますが、何度やっても引っ越しとは慣れないもので、お金もかかるし面倒だし、引っ越したいと思いながらも機会はなかなかきませんでした。

 しかしそんな面倒くさがりなボクですが、今年の秋から引っ越しについて本気を出し始めたのです。いよいよ本当に足の踏み場がなくなったのですよ!!

 廊下に積み重なる衣服のせいでカバンを持ったまま廊下を通ることが困難になり(いわゆるカニ歩き状態で壁に沿って歩くしかない)、シューズボックスに入りきらない靴は玄関に積まれ、夏物と冬物の衣服が混在するわけのわからない空間になっていました。居室は居室でボクのパソコンたちが猫のキャットタワー代わりになっていたり、ある時は帰ってきて部屋に入った瞬間猫のうんこを踏んだこともありました。とにかく我が家は限界。もう人の住める家ではなかったのです。

 一刻もはやく広い家に引っ越す!と引っ越しを決意してから動くまでは早かったのですが、目をつけていた良い物件は直前で埋まってしまって契約ができず……。6年間住んだ家は比較的交通の便も良く、お店もたくさんあった便利な場所だったのだが、ボクはとにかく乗り物に弱い。タクシーは5分乗ったら酔ってしまうし、バスも同じ。電車ですら酔うレベルの乗り物酔い人間なのです。高校時代は電車通学の時間が長く、よく酔って途中下車して休み休み通学していました。大人になったら乗り物酔いはしなくなると思っていましたがそんなことはなく、現在も電車で酔ってしまうので、今よりももっと交通の便が良い、楽な場所であることがまず引っ越し先の条件だったのです。

 それから大事なのはペット可であること。セキュリティーがしっかりしていること。そしてなるべく築浅、できれば新築の物件が良かった。物件探しはマネジャーさんも手伝ってくれた。最初に目をつけていた物件はダメでしたが、逆にそれが良かった。「ダメだった物件より良い物件を見つけて引っ越してやる!」という謎の闘争心が芽生えていたのです。

 そんなこんなで物件を探し続けていたが、ネットでとても良い物件情報を目にしました。希望のエリアだったのはもちろん、新築、ペット可。共用施設も充実したマンションなのでセキュリティーの面は全く申し分ないし、以前の家と比べてもあり得ないほど部屋の設備も何もかもが良かった。ボクが想定していた金額より、家賃は少し高くなってしまうのですが、タイミング的にももうこれしかないと思った。その物件にすると決めて、マネジャーさんもいろいろ手伝ってくれたお陰で、引っ越し手続きも今までの引っ越しより随分と楽に進みました。本当にありがたかった。

 いろいろな手続きが済み、あとは引っ越しするだけ! とんとん拍子で進んだはいいものの、一つとても気がかりになっていることがありました。それはやはり我が家の可愛い猫たち。猫は環境が変わることに弱い。いざ引っ越してから新居に慣れず体調を崩してしまう子も多いのだとか。特に我が家の先住お猫様「ゆん」はとにかく繊細でビビりな性格。後輩猫の「どらごん」が我が家にやってきたときも丸一日ご飯も食べず水も飲まず、ベッドから一切動かなくなったほど。そんな前例もあったため、とにかく「ゆん」が新居に慣れるかどうか、それが気がかりでした。

 もう一つ、猫たちのことでの心配事。それは部屋をボロボロにされないようにいかに部屋を保護するか。6年住んだ以前の部屋はフローリングにワックスがけしてあったものの、ワックスなんてなかったかのような「ゆん」の爪あと。「どらごん」は壁紙を引っかいて口でべりべりとはがすのが何よりも大好きで、我が家でのあだ名は「妖怪壁紙はがし」。はがされまくって壁の板がむき出しになり、もともと白い壁紙の貼られた部屋は黄色っぽい板とのツートンカラーに変わってしまいました。

 そして何よりボクは水周りの掃除がとても苦手。自分で汚しておいて言えたことではないのですが、洗面台やお風呂場などの水周りがとにかく苦手で触ることができません。そんな人間が6年住んだら一体どうなるか皆さんは想像できるでしょうか。バイオハザード。まさに生物災害で。「あ~これバイオとかサイレントヒルとかホラーゲームでよく見る~!」みたいな汚れ方です。初めて見る人は人間が現在も生活しているとは思えないような有り様です。

 そういった意味でも我が家は悲惨な状態でした。退去費用が一体いくらかかるのか。考えただけでも胃が痛くなります。新居では絶対にそうはさせない。そう思い立ったボクは入居前にフロアタイルを貼り、壁紙保護シートを購入。フロアタイルを貼るのは初めての経験で6時間以上かかりました。とにかくこれが大変。腰が痛すぎて作業後は歩行困難に陥ってしまったし、できればもう二度としたくない行為です。

 壁紙保護シートは以前も使ったことがあったのですが、保護シートごと破られた過去があったのでビニール製のものを購入。そして「どらごん」が気に入ってくれるように爪研ぎをいくつか購入。爪研ぎを気に入ってくれれば「妖怪壁紙剥がし」も姿を見せなくなるだろう。ボクの願いが通じたのか、いくつかあった爪研ぎの中から一番安い300円程度の爪研ぎが気に入ったようで、いまのところはまだ妖怪壁紙剥がしの姿を見ていません。保護シートは大量購入したので無駄になったような気分だが、今後も300円で妖怪を封印できるならそれが最善です。保護シートの1万円は忘れておくことにしましょう。

 そして以前の家は廊下にキッチンがあったので、猫たちはキッチンへ行くことが許されなかったのですが、今回は違います。リビングダイニングキッチン。つまり部屋の中にキッチンがあります。しかも猫の大好きなカウンターキッチン。もう猫アスレチックです。コンロはIHなので、やつらが乗ってうっかりやけどをしないようにコンロカバーというものを生まれて初めて購入しましたが、ステンレス製のコンロカバーは現在猫のひんやりくつろぎゾーンの一つと化してしまいました。

 そしてキッチンのシンク。シンクが冷たくて気持ちがいいのでしょう。やつらはシンクをベッド代わりに使い始めました。新築で未使用だから今はいい。でもそのうちキッチンを使い始める。そんなところで寝られたら大変です。しかも濡れるし。風呂は大嫌いなくせにシンクの水はいいのか。基準がよくわからないがシンクカバーというグッズがないかググってみました。これが困ったことに、シンクカバーという商品は全く存在しないのです。猫を飼っている方々はみんな困ってはいるようなのですが、シンクカバーが売っていないため自作したり、シンクのサイズに合わせて業者にオーダーしたり……。引っ越しで金欠なボクはオーダーなんてやってられません。たかが流しのフタに何万もかけるくらいなら新しいゲームを買うぜ。

 ということでいろいろ調べてみました。アクリル板や木の板でフタを自作する方がチラホラいらっしゃるようだが、どうやら通気性が悪いとカビが発生しやすいみたい。いろいろ考えた結果、ボクが選んだのは100円ショップに売っている金網。さすがにぴったりサイズの網はなかったのですが、金網専用のジョイント器具でつなぐと、そこそこ良い感じの猫シンクカバーが完成。「ゆん」は8キロもある大型の猫ですが、意外と丈夫で乗られても平気でした。オーダーすると数万円かかるシンクカバーを400円で作ったのです。やってやったぜ。謎の達成感がありました。寝室や衣装&ゲーム部屋には、もうタイルを貼る元気がなかったためカーペットで代用。寝るとき以外は猫を寝室には入れないし、衣装&ゲーム部屋はそもそも猫侵入禁止部屋にするので問題ないでしょう。そんなこんなで引っ越しで何よりも大変で気がかりだった猫対策が一通り終了。これでいつか来る退去費用におびえずに済みます。

 最近「DIY」とかいう自分で部屋などをリフォームする行為がはやりだそうですが、ボクはしばらくいろいろ作ったり貼ったりする行為は正直やりたくないと思いました。DIY好きの友人がいたらぜひ知恵を借りたかった。まだまだ引っ越したばかりで細々としたものは足りてないし、衣装&ゲーム部屋に至っては照明すらついていないノータッチ状態ですが、とりあえずなんとか新居での生活は順調にスタート。新居はとても快適で、奇麗で、何より広い家のありがたみを実感しています。

 現在猫たちは毎晩元気に大運動会を開催中です。どれだけ走り回っても床の傷におびえずにいられるのは、腰を痛めてタイルを貼ったかいがあったと思います。心配していた「ゆん」のビビりっぷりも全く問題なく、猫たちは新居になじんでいるので何より。これからは前の家でのバイオハザードな状況にならないよう、こまめな掃除を心がけて過ごしていきたいと思います。もしまたバイオハザード状態になりかけたら、今度はすぐにお掃除業者さんに頼もうと思います。それが間違いない。急に決まった引っ越しで慌しい日々が続きましたが、新居で新年を迎えられそうで本当に良かった。引っ越ししたてだから、年末の大掃除の必要もまだないだろうし(笑い)。

 というわけで、ボクの2017年最後の大きな思い出は引っ越しだったのですが……。皆さんはこの一年、どんな思い出がありますか? すてきな一年を過ごせたなら何よりです! そして来年、2018年はどんな年になるのでしょう。「友達をつくる」という今年の目標はある意味達成したと思うので、ボクの来年の目標は「気軽に飲みやご飯に誘える友人を1人はつくる。できれば親友がほしい!」。これはハードルが非常に高い気がしますが、目標は高めに!(笑い)。

 そしてもう一つ、目標というか抱負は、「毎月1回はお家を隅々まで掃除する」。これを忘れずに、いつまでもぴかぴかなおうちで過ごせるように頑張りたいと思います……。お掃除得意な皆さん、どうかボクにお掃除のコツや知恵をお貸しください……(笑い)。それでは皆様、今年も一年お世話になりました。少し早いですが、良いお年を~!

 ◇プロフィル

 あおき・しき=1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。

写真を見る全 11 枚

アニメ 最新記事

MAiDiGiTV 動画