女優の杏さんがゲスト声優を務める劇場版アニメ「それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星」(矢野博之監督)が6月30日から公開中だ。今作はテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」(日本テレビ系)開始から30年、劇場版30作目の節目となる作品で、アンパンマンが「なぜ人を助けるのか」という重要なテーマが描かれている。今作でアンパンマンたちに「何のために生まれてきたのか」を問いかけて回る不思議な子・クルンの声を担当した杏さんに、アンパンマンへの思いや作品に参加した感想などを聞いた。
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「アンパンマン」は、1988年にテレビアニメがスタート。翌89年3月に劇場版1作目が公開された。今作は、好奇心旺盛でちょっと不思議なクルンとアンパンマンたちが、「いのちの星」の故郷を救うために奮闘する……というストーリー。テレビアニメ第1話にも登場し、アンパンマン誕生のきっかけとなった命の象徴のような存在「いのちの星」が物語に大きく関わってくる。多数のキャラクターが登場し、杏さんは「これまでの同シリーズのいろんなキャラクターが総出演じゃないのかっていうぐらい、一回一回一時停止したくなるようなボリュームだったので、今まで見てきた人たちもうれしいと思うような作品です」と紹介する。
ゲスト声優としてアンパンマンの世界に参加した杏さん。オファーを受け、「上の子供たち(双子の女児)がアンパンマンに目覚め始めた時期とオファーの時期が一致したので、子供たちにも喜んでもらえるし、私もやってみたいと思って」と当時の気持ちを語り、「子供たちのことを抜きにしても、30周年という大きな節目の映画に呼んでいただけてうれしいなという思いがありました」とほほ笑む。
声を担当したクルンは「自分が何者かが分からない、疑問を持ったキャラクター」。杏さんは「(クルンは)何のために生まれてきて、生きているのか、『アンパンマンのマーチ』のテーマに基づいた質問を臆(おく)さずにぶつけていく。何も分からない視点から、まっさらな状態でアンパンマンを見ていくというキャラクターだと思いました」と説明する。
クルン役を演じる上では苦労もあった。杏さんは「クルンちゃんって、性別もどちらともいえないキャラクター。大人というより子供で、自分とはかけ離れている存在なので、どうやったらいいのかなと悩みました」と明かす。そんな中で意識していたのは、作品を見る子供の目線だ。「言葉を覚えていく過程の子が見る作品なので、“言葉の聞こえやすさ”は大事にしたいな、と。でも計算(した演技)はできないので、戸惑ったり、悩んだりしながらやりました」と語る。
アフレコ時は、「まだ映像が出来上がってなくて、鉛筆で描いた動画みたいなものだったりがありまして。制作過程が見られて得した気分というか」と杏さんは笑う。「こんなふうに作られているんだ、という思いと、出来上がりを見てこんなふうになったんだ、という思い、二重に感じられて面白かったです」と楽しそうに振り返りつつ、「『アンパンマンのマーチ』の歌詞って、すごく深い、いいことも悪いことも言っている。大人が聴いてもずしっとくる。原作のやなせたかし先生の、激動の人生の中で生まれてきたものなのかなと思う。それを今回はクルンちゃんの目を通して見つめ直すことができたと思いました」としみじみ語る。
最後に、改めて「アンパンマン」の魅力とは? 「アンパンマンの世界ってお金が介在しないとか、人間がいないとか、ファンタジーの世界ではあるんですけど、自分の身を削って誰かを助ける、何かをしてあげる。それが何より難しいし、幸せ。そのシンプルさが子供たちに受け入れられ、大人たちも安心して子供に見せることができる。いろんな世代で何かを受け取ることができるんだなって感じました」と語った。
<プロフィル>
あん 1986年4月14日生まれ、東京都出身。2005年から海外のファッションショーで活躍。07年から本格的に女優活動をスタートし、「名前をなくした女神」(11年、フジテレビ系)で連続ドラマ初主演を果たした。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(13年後期)のヒロインを務め、一躍注目を浴びる。主な出演作は、ドラマが「花咲舞が黙ってない」(14、15年、日本テレビ系)や「デート~恋とはどんなものかしら~」(15年、フジテレビ系)、映画は「プラチナデータ」「真夏の方程式」(共に13年)、「オケ老人!」(16年)など。声優としては劇場版アニメ「百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~」(15年)などに出演している。
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