エバンジェリン・リリー:映画「アントマン&ワプス」でワスプ役 人生を変えたボーイフレンドの言葉とは?

映画「アントマン&ワスプ」にワスプ役で出演したエバンジェリン・リリーさん
1 / 10
映画「アントマン&ワスプ」にワスプ役で出演したエバンジェリン・リリーさん

 米マーベル・スタジオの最新作「アントマン&ワスプ」(ペイトン・リード監督)が公開中だ。体長1.5センチのヒーローたちが大活躍するアクションムービーで、ヒロイン「ワスプ」を演じたカナダ出身の女優エバンジェリン・リリーさんが、このほど来日。ワスプの魅力はもとより、リリーさん自身の健康と食生活に対する哲学や、女性が輝き続けるための秘訣を語った。

あなたにオススメ

 ◇ワスプは「自制心を持った人」

 映画「アントマン&ワスプ」は、2015年に公開された「アントマン」の続編。前作で、身に着けると体が小さくなる「アントマンスーツ」をひょんなことから手に入れた、前科持ちでバツイチのスコット・ラング(ポール・ラッドさん)が、今作でコンビを組むのが、スーツの生みの親、ハンク・ピム博士(マイケル・ダグラスさん)の娘ホープだ。今作では彼女も新型スーツを装着し、体長1.5センチの「ワスプ」に変身。羽も手に入れ、超高速で飛び回り、アントマンをしのぐ活躍を見せる。

 リリーさんは、演じたホープについて、「信じられないほどの自制心を持った人」と表現する。「量子物理学者としての地位を確立して尊敬されている。格闘技の能力も持った多才な人で、さらに、高度な技術を持つ研究所を作り上げている。彼女は、自分に課したことをやり遂げる努力の人で、そういう彼女を、私たちは憧れを満たす存在として感じるのだと思います」とその魅力を分析する。

 ◇体は「魂が宿る神殿」

 リリーさんは11年に第1子を、15年には第2子を出産。スリムな体形を維持しているが、それは、日ごろのトレーニングのたまものだという。なんでもリリーさんは8歳のとき、周りにいる男の子の誰よりも速く走れたことで、自分は運動能力にたけていると自覚したという。以来、健康にはとても気をつけていて、「与えられた体を“器”と考え、それを道具として最大限活用する」よう、日々鍛錬を怠らないという。

 その背景には、「明日、そういった能力が失われてしまうかもしれない」という思いがある。「世の中には、健康上の理由や障害などによって、走れなかったり、ジャンプできなかったり、ダンスすることができない人がたくさんいます。ですから私は、自分に与えられたこの体を楽しむことを、いわば“義務”にしています。そして、この体を用いて踊ったり、動いたりすることで、自分の強さや自由を実感したいと思っているのです」と話す。リリーさんにとって体は、「いってみれば自分の魂が宿る神殿」であり、「そういうことに気を使っていると、確かに恩恵としてスリムでいられます。でも、(鍛錬の)モチベーションになっているのは、“神殿に対する敬意”なのです」と言い切る。

 ◇「食べたいものを食べる」

 食生活に関しては、「日本の方々の考え方と近いのではないかと思います」とした上で、「私の食べ物に関する哲学は、『すべてのものを食べる』ということです」と明かす。そのため、食べていいものといけないもののルールは特に設けていないそうだ。ただ、口にするものは、「極力、自然に近いもの、つまりパッケージ化されたものは食べず、新鮮な食材を家で調理して食べるようにしています」という。

 そして、「私はとてもラッキーなことに、デザートに関しては、パートナーがすぐれたシェフで、いろんなものを焼いてくれます。本当に腕がいいのよ(笑い)。だから、私はよく食べるし、お陰で体も満たされています。無理な食事制限はむしろ、過度の可食を招いてしまうと思います。私はたくさん食べますが、自然に近いものを食べているし、自分が食べたいものを食べているので、体も気持ちよくいられるのだと思います」と心身共に健康でいられる理由を語った。

 ◇自分の輝きを隠し続けた日々

 現在39歳。女性が輝き続ける秘訣(ひけつ)を尋ねると、自身の体験を話し始めた。リリーさんは、若いころ、何年間も自分の輝きを隠し続けていたそうだ。というのも、その輝きを妬む人がリリーさんを打ちのめそうとしたからだ。傷つき、孤立したリリーさんは、以来、自分を小さく、人よりもさえない人間として振る舞うようになったという。エージェントが持ってきたオーディションの話も断り続けた。すると当時のボーイフレンドが問いかけたという、「君は何を恐れているの?」と。

 「そのとき私は、何も恐れてなんかいないと答えたけれど、彼が言ったの、『君は自分の素晴らしさを恐れているんじゃないか』って。それを聞いたとき、とにかく涙が出てきて止まらなかった。で、そのとき思ったの。彼の言う通りだと。何か人より秀でたものを持っていると、どうしても周囲から攻撃されて、マイナスの注目をされてしまう。私もそれを恐れて、持っている明かりを輝かせることができなかった。それで、一旦その事実を受け入れて、自分を輝かせてみようと思ったの。そうしたら、エージェントがオーディションの話を持ってきて、それが04年の1月か2月。その1、2カ月後の3月には、私はハワイで『LOST』という番組の撮影をしていました。私は一夜にして、スポットライトを浴びる人間になったのです」と気持ちを切り替えたことが、今の成功につながったことを明かした。

 ◇女性が輝き続ける秘訣は

 その上で、「ですから、輝き続けるために必要なのは、隠れることではなく、自分自身をまず愛さなければいけない、ということ。自分が自分を愛さなければ、周りからも愛されません。自分を輝かせることはとても力強いことで、自分が輝くことで持っている能力や可能性を最大限に引き出せると思いますが、でも、まずは自分を愛すること。そして、ありのままの自分を受け入れること。そうすることが、輝き続ける秘訣ではないかと思います」と自身の経験を踏まえてアドバイスする。

 そして、「もう一つ付け加えさせて」と続け、「小さな男の子たちは、自分の持っている光をもっと輝かせなさい、もっと大きく、偉大な人間になりなさいと言われて育つと思います。一方、女の子は、あまりスペースを取っちゃだめよ、大きな声はだめ、ちゃんと座っておとなしくしてなさいと言われて育つと思う。だからこそ、先ほど私がお話ししたことは、小さな女の子にはとても大切なことだと思います。いまだに私の中にも少女の自分がいて、スペースを取り過ぎてはいけない、権利がないんだからという声が聞こえてきます。でもそうではなく、もう今の世の中では、女性もスペースを占めてもいいんだと考えることが大切だと思います」と世の女性たちにエールを送った。

 <プロフィル>

 1979年生まれ、カナダ・アルバータ州出身。モデル活動を皮切りに、CM出演、テレビシリーズ「ヤング・スーパーマン」(2002~04年)への出演などを経て、人気テレビシリーズ「LOST」(04~10年)のケイト役で大ブレーク。主な映画出演作に「ハート・ロッカー」(08年)、「リアル・スティール」(11年)、「ホビット 竜に奪われた王国」(13年)、「ホビット 決戦のゆくえ」(14年)、「アントマン」(15年)などがある。

 (取材・文・撮影/りんたいこ)

写真を見る全 10 枚

映画 最新記事