ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
俳優の窪田正孝さんと女優の広瀬アリスさんが声優として出演する劇場版アニメ「モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ」(錦織博監督)が5日、公開された。今作は人気ゲーム「モンスターストライク(モンスト)」を基にしたオリジナルストーリーで、窪田さんは祖母と一緒に地上で暮らす主人公の高校生カナタ、広瀬さんは謎の青い髪の少女ソラを演じる。今回がアニメ声優初挑戦となった窪田さんと、大のアニメ好きとして知られる広瀬さんに、声優として出演した感想や収録エピソードなどを聞いた。
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「ソラノカナタ」は、宙に浮いた空中都市・旧東京と地上に残った新東京に分断された世界が舞台。地上に残った人間たちは安全に暮らしていたが、地上との一切の通信、物理的干渉ができず、人も住んでいない旧東京が、地上に墜落することを知る……というストーリー。3DCGアニメで、「宝石の国」などのオレンジが制作。音声を先に収録するプレスコ方式がとられている。
――声優としてオファーを受けたときの心境は?
窪田さん 声の仕事は「いつかやってみたい」と思っていましたので、お話をいただいて、純粋にうれしかったですね。怖い部分もあるし、殻を破る挑戦でもあるな、と。現場に飛び込んで、揉(も)んでもらえたら幸せかな、また新しい出会いがあるかな、と思いました。
広瀬さん 声のお仕事は、今までに洋画の吹き替えで2回ほど出演させていただいたんですが、今回はアニメなのでこれまでとは全然違うんだろうな、というのが率直な気持ちでした。音声を先に収録する「プレスコ方式」と聞いて、まず「プレスコってなんですか?」というところから始まり(笑い)。自分にとって、いろいろなものが吸収できる場なんだろうなと思いました。
――プレスコ方式での収録はいかがでしたか。
広瀬さん 収録時は絵コンテの状態でしたので、あとで映像をいただいて答え合わせをしていく感覚でした。「こういう背景なんだ」と、完成してから分かる状態だったので。ただただ、難しかったですね。
窪田さん せりふを言う中での吐息なども使って、リアルな人物をアニメで動かしていきたい、と聞いていたんです。だから、台本にあるせりふ以外の声が入ってもアリです、と言っていただけて、やりやすかったです。
――窪田さんは高校生のカナタ、広瀬さんは謎の少女ソラを演じました。どのように役を作りましたか。
窪田さん 最初は、人物との距離感というか、声で間合いをとる、ということについて苦労しました。本来ならキャラクター同士が近づけば小さな声でしゃべればいいんですけど、収録では自分の声が耳元で聞こえてくるので、距離感がつかみづらい。そういう苦労はありました。
広瀬さん 収録中は、監督から言っていただいたことをなるべく自分で表現できるように意識していました。ソラは「勝ち気な部分もある、凜(りん)としたカッコいい女性」と言われていたので、いつもの声よりもさらに低い声で演じてみたり。やっぱりなかなか慣れないので、基礎から、監督と話し合いながらソラを作り上げていきました。
――2人の共演シーンが多いですが、改めてお互いにどんな印象を持ちましたか。
窪田さん 台本を読んでいるのでお互いストーリーはもちろん分かっているんですが、アリスちゃんはあえてそう(自分が想像するように)言わない。自分とのアプローチの仕方の違いが印象的で、新しいアプローチをする人に出会えた感じがしました。それは収録していて新鮮でしたし、アリスちゃんを通して“ぶれない心”をソラから感じ取れたのも、カナタが成長していく後押しになったなと感じました。新しいタイプの人だな、と思いましたね。
広瀬さん 窪田さんはあまり多くを語らないというか、黙々とずっと一人でやられていて、カナタに似ているなと思いました。開いているんだけど、どこか閉ざしている部分もある。窪田さんのそういうところを、自分の中でカナタとリンクさせることができました。やりやすい環境を作ってくださったと思います。
――窪田さんの叫び声の演技のすごさに、広瀬さんがびっくりしたと聞きましたが。
広瀬さん 震えました。スタジオの後ろの方で見ていたんですが、「うわーっ」と開いた口がふさがらない状態で。しびれました。
窪田さん 本当ですか! うれしいっす。純粋にうれしい。
――収録中の印象的なエピソードは?
窪田さん アリスちゃんを見ていると「面白い」しかない(笑い)。台本を右に持つか左に持つかで、四苦八苦していて。あと、音量の調節が間違っていて大きな爆発音が鳴ったときに「ビクッ!」となったり。すごく純粋な人だなと、ほほ笑ましく見ていました。
広瀬さん 恥ずかしい、今年24歳なのに(笑い)。
窪田さん 最初にそういうところが見られて、うれしかったですけどね。ホッとしました(笑い)。
――出来上がった映像を見て、どのような感想を持ちましたか。
窪田さん 僕は別世界として見られましたね。アニメじゃないとできない作品。物理的に不可能なことって、実写の映画でやるには結構、制約がありますから。それができるのはアニメの特権ですよね。実写ではあれだけ大きい鎌(かま)を持って戦えないですし(笑い)。それができるのも、迫力ある映像が作れるのも、アニメだからですよね。それはアニメならではの武器なんだなと、今回すごく実感しました。
――窪田さんは実写作品でもアクションシーンを多く演じられていますが。
窪田さん アクション、大変ですよ! 先日も「銀魂2 掟は破るためにこそある」(福田雄一監督)に出演させてもらいましたけど、三味線背負って戦うのは、大変(笑い)。「ソラノカナタ」でもユウナがでっかい棺桶を持って戦うけど、実写ではあんなに走れないですからね。でも、それができるのもアニメならではですね。
広瀬さん 私はリアルな東京の風景を映像で見られるのがうれしかったです。工事中の風景なども美化していないので「あ、あのままなんだ」とリアルさが増しました。そこが崩壊していくのも、また面白いというか……。見慣れているものが崩れていく、というのが結構好きなので(笑い)。
窪田さん 破壊衝動がある人なんだ(笑い)。でも、誰もが持っているからね。
――今回の経験を他のお仕事でも生かせそう、という思いはありますか。
窪田さん 先日、違う映画のアフレコをしたんですが、3分で終わりました(笑い)。役者って、アフレコは苦手なことが多いんです。少なくとも僕はやりたくない。でも、ちょっと自信になりました。もともとナレーションのお仕事ができたらいいな、と漠然と思っていたんですよ。それで今回こういうお仕事いただいたので、今後はナレーションなどのお仕事もできたらいいなと思っています。可能性はどんどん広げていった方がいいなと思います。
広瀬さん 私も「ソラノカナタ」の収録2日目の夜に、そのまま次の仕事で映画のアフレコがあったんです。だから喉がいい感じで開いていて(笑い)、その現場は早く終わりましたね。
窪田さん あの空間に慣れるよね。
広瀬さん そう! 密室のような光が入ってこない状態でも、全然いける。あれはちょっとうれしかったですね。
窪田さん そうだよね、環境に慣れる。
広瀬さん 2日で慣れるものなんだなと思いましたね(笑い)。
――最後に「ソラノカナタ」ならでは、という魅力を教えてください。
窪田さん 最初は子供に向けた作品と思っていましたが、出来上がったものを見ると、子供が分かる部分もあるけど母親に聞かないと分からない部分もあって、大人に向けたアプローチが強いんですよね。幅広い人をターゲットにしているんだなと改めて感じました。あと、モンスター側の目線というか、モンスターから見える人間への主張というか主観が描かれているのが、なるほどなと思いましたね。
広瀬さん 私は人と人との絆というか……。ソラとカナタの友情、トウヤとユウナの兄弟の絆、いろんな人との関わりなど、シンプルですけど、しっかりと人間ドラマの部分もある。そこがすごくすてきだなと思いました。戦って勝ってイエーイ、だけじゃないのが、この作品の魅力だと思います。
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