俳優の坂口健太郎さん、吉田鋼太郎さんダブル主演の映画「劇場版 ファイナルファンタジー(FF)XIV 光のお父さん」(野口照夫監督、山本清史監督)で、ヒロインを演じている女優の佐久間由衣さん。2017年放送のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」の時子役で知られる佐久間さんは、昨年、TBS系の連続ドラマ「チア☆ダン」にレギュラー出演するなど順調に活動を続けている。女優キャリアがもうすぐ丸5年を迎え、「常に状況は変わってきていますが、役を演じることが、私の中でどんどんと楽しくなってきている」と変化を明かす佐久間さんに話を聞いた。
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「光のお父さん」はスクウェア・エニックスの人気オンラインゲーム「FFXIV」をプレーする親子の姿をつづった実話のブログが原作。映画は、仕事一筋の父・岩本暁(吉田さん)が突然辞職。父の本音を知りたいと思ったアキオ(坂口さん)が、ゲーム「FFXIV」の世界に誘い、正体を隠して冒険に出るが、父に意外な顔があることを知ることになり……というストーリー。佐久間さんはアキオの会社の同僚で、アキオに興味津々の井出里美を演じた。
里美は社内でアキオを観察するのがひそかな楽しみになっている、ちょっぴり不思議ちゃん成分の入ったゆるふわ女子。「ひよっこ」の時子や「チア☆ダン」の委員長とはまた違ったタイプのキャラクターで、佐久間さんも「台本いただいた時にすごく変な子だなって思いました」と振り返る。
「でもその変な部分が可愛いなって」と言う佐久間さんは「自分の世界観を持っている女の子なので、まずは服装にも統一した色があったほうがいいのではないかと相談させてもらって、柔らかくて温かみのある色の服をチョイスさせていただきました」と話す。
「初日が自宅でゲームする撮影シーンだったのですが、里美の素の部分を表現するためには『メガネをかけたほうがいいのか?』『髪を上げているほうがいいのか?』など事前に相談させていただきました。あとは話すペース、話し方などや、リアクションがちょっと不思議なところ、などを意識しながら、役に命を吹き込んでいった感じです」と役作りの一端を明かす。
アキオに近づきたいがため「FFXIV」を始め、まんまとアキオとの距離を縮めていく行動派の面もある里美。佐久間さんは「周りからは見えにくい一面として、好奇心の強さなどは、私にも重なる部分はある気がします」といい、「行動の一つ一つに自然と共感は持てましたし、あとはテンションが私と近いのかなと思いました」と。その上で「でも私は不思議ではないと思います。そう思いたいだけなのかもしれないですけど」と笑う。
口調こそゆっくりで、一つ一つ言葉を選びながらだが、役について話すのが本当に楽しさそうな佐久間さんからは、充実感がうかがえる。「お芝居を始めた頃はとにかく全力、全部直球というか、後先考えずにやらせていただいて。それはそれで、その時にしか表現できないものだったとは思うのですが、ちょっとずつ経験を積むうちに、楽しむっていうことを第一に考えるようになってきたんです」と語る。
以前は「演じている役がこれだけ頑張っているから、自分も頑張らなくちゃいけないって考えてしまう時期もあった」というが、最近は「ぐっと歯を食いしばって我慢をするような努力ではなく、楽しめる範囲を広げるための努力をした方が、役にもいい影響があるし、作品にとっても自分にとっても、より豊かなことなんじゃないかって思えるようになったんです」と努力の質の変化を告白する。
「まずは台本を読んで、いろいろと考えてしまう部分は変わらないのですが、考えた上で『ま、いいか』って、あとは現場に行ってからって、いい意味で開き直れるようにもなった」と気持ちの変化も明かす。
今後も女優として活躍を続けるために「自分自身の教養は増やしていきたい」と力を込めると、「今回の映画だったらゲームなど、作品の経験から学べることっていっぱいあるので、その全てが肥やしになるっていると信じていたいです。そういったものも隅々まで楽しめるようになりたい。毎回役柄も作品も違うので、前に学んだことが今回は生かせないことが多かったりもしますが、それも一つの試練だと思い、楽しみながら一つずつ乗り越えていけたらなって思いますね」と話していた。
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